- プレテンションPC床版橋では、横締めPC鋼材が腐食で破断し橋の外へ突き出す不具合が複数報告されています
- 主因はPC鋼材の腐食。断面が減ったところに活荷重の衝撃などがきっかけとして加わります
- 1本で終わりません。要領は、1本目の約4か月後に同じ橋の別の場所で2本目が突出した事例を載せています
- 危険度は建設年度で変わります。PC鋼棒・PC鋼線はより線より1本あたりのプレストレスが大きく、突発的に飛び出しやすい
- 逆にPC鋼より線は、突出していなくても既に破断している可能性があります
- 鋼材の位置は外から見えないことが多い。昭和50年以降の建設省標準の中空床版橋だけは、横桁の打ち下ろしで下面から特定できます
- 定着背面の補強材は目的が3種類(突出防止/剥落防止/曲げ・せん断)。設置範囲と材料で見分けます
- 要領は非破壊検査の性能評価法・比較法は「未だ確立されていない」と書いています
橋梁定期点検要領(令和6年7月・令和7年3月訂正)の参考資料4「コンクリート床版橋における横締めPC鋼材の突出例」は、ひとつの壊れ方だけを23ページかけて扱う資料です。扱っているのは、桁の側面から鋼の棒が突き出すという、写真で見ると異様な壊れ方です。
この損傷が資料1本ぶんの分量を与えられているのは、予兆が外に出にくく、しかも第三者被害に直結するからです。この記事では参考資料4を原文で読み、何が起きているのか、現場で何を手がかりにするのかを整理します。PC定着部の異常そのものの扱いは定着部の異常とはにまとめています。
何が起きているのか
まず構造です。参考資料4は対象をこう説明しています。
「プレテンションPC床版橋(図 1.1)は,工場で製作されたプレキャストPC桁を現地で架設し,桁間に間詰めコンクリートを打設後,横締めPC鋼材により一体化させた構造である。これまでに,これらの構造を有する床版橋で,横締めPC鋼材が破断し,橋梁外部へ突出した不具合事例が複数報告されている。」
横締めPC鋼材は、並べたプレキャスト桁を横方向に締め上げて一体にするための部材です。緊張したまま定着されているので、破断した瞬間に緊張力が解放されて飛び出すことになります。
原因は資料が明記しています。
「横締めPC鋼材の破断及び突出の主な発生要因は,PC鋼材の腐食である。腐食によって,鋼材断面の減少が生じ,破断及び突出が発生する。腐食し断面減少したPC鋼材の破断及び突出のきっかけとなる要因は様々なものが考えられる。例えば,活荷重による衝撃の影響などがきっかけになることが考えられる。」
つまり腐食が土台を作り、通行車両の衝撃が引き金を引くという2段構えです。腐食の進行は年単位ですが、引き金は日常的に引かれ続けています。防食機能そのものの劣化は防食機能の劣化に整理しています。
発生条件について、資料は通説をいったん退けています。
「これまでの突出事例からは,飛来塩分や凍結融解材の散布の違いが発生の有無に顕著に影響したとの知見はない一方で,建設年度に応じた使用材料の違い,橋の幅員に応じた細部構造の違いによる影響が大きいとの知見もある。」
塩害地域かどうかでは切れないということです。塩害地域区分の話は塩害の地域区分にありますが、この損傷については別の軸で見る必要があります。資料が示す軸は建設年度と細部構造、そして外観です。
「また,突出が起きた事例では,プレストレストコンクリート部材と場所打ち部の境界面での漏水や遊離石灰の発生,集水・排水との関係があったとの指摘もある。したがって,材料や構造の特性と外観から得られる情報を組み合わせることで,内部のPC鋼材の腐食が進行している可能性を疑うことはできると考えられる。」
1本で終わらない
この資料でもっとも実務に効くのは、突出が連鎖するという指摘です。
「また,PC鋼材の腐食による破断・突出が確認された橋梁では,同一橋梁内の別の横締めPC鋼材の腐食環境も悪化している可能性があり,比較的短い期間で連続して横締めPC鋼材の破断・突出が起こることも考慮して診断や措置の必要性について検討しなければならない。」
そして実例が添えられています。
「2本目のPC鋼棒の突出は,1本目のPC鋼棒の突出を受けて,調査および他のPC鋼材の突出対策を検討中(1本目の突出から約4ヶ月後)に発生した。」
対策を検討している最中に2本目が出ています。資料はこれを受けて、点検側の身の安全に話を進めます。
「そこで,既に横締めPC鋼材の破断・突出が確認されている場合や顕著な腐食が疑われる場合には,点検,調査中に横締めPC鋼材の破断・突出が生じることも想定し,点検,調査の方法を検討する必要がある。」
1本見つけた時点で、その橋は「1か所の損傷がある橋」ではなく「同じ条件の鋼材を何本も抱えた橋」として扱う、ということです。措置の必要性の判断は対策区分の判定、緊急の通行規制は点検時の交通規制と保安を参照してください。
鋼材の位置を外から推定する
見るべき対象の位置が分からない、という問題があります。
「横締めPC鋼材の桁側面の定着部は地覆の打ち下ろしや後打ちコンクリートによって覆われており,ひびわれや漏水等の変状が生じていない場合は外観からの判別は困難である。」
ただし1つだけ、外から特定できる構造があります。
「昭和50年(1975年)以降に制定された建設省標準プレテンション方式単純中空床版橋(図 2.6)は,桁間の間詰めコンクリートが省略されており,横締めPC鋼材が配置される横桁部(支点,中間)のみが桁下面付近まで打ち下ろされているため,下面からの目視でPC鋼材の位置を特定することができる。」
それ以外は困難だと明記されています。
「一方で,上記以外の中空床版橋やI桁を用いた床版橋は,桁間に間詰めコンクリートが施されており,外観からのPC鋼材位置の把握は困難である。建設時の図面が入手できる場合は,現地で中間横桁部やPC鋼材の位置を図面で確認しながらスケール等でPC鋼材位置を確認するのがよい。ただし,必ずしも当時の図面が入手できるとは限らない。」
図面が無い場合の代替も示されています。「そのような場合においては,中空床版橋の端部横桁には必ず横締めPC鋼材が配置されていること等の構造的特徴や,図2.3や図2.5に示すような標準的なPC鋼材の配置を参考にする(ただし,必ずしも標準どおりの配置ではないことに注意する。)ことでおおよそのPC鋼材の配置を推定することができる。また,定着背面の変状等からもおおよそのPC鋼材位置を確認することができることがある。」
標準的な配置については、中空床版橋(ホロー桁)は「横締めPC鋼材が桁図心位置付近に配置されている場合が多い」「横締めPC鋼材が端支点部・中間横桁部に配置されている」、床版橋(I桁)は「横締めPC鋼材が桁側面に1m以内の間隔にて配置されている」と整理されています。
ただし資料は繰り返し釘を刺しています。「実橋梁においては橋梁ごとの設計によってPC鋼材の配置は決められており,必ずしも標準どおりの配置ではないものとして定期点検を行うことが重要である。」。図面の所在確認が点検の前工程になるという意味で、橋梁台帳に何が載っているかと基礎データ収集要領が効いてくる場面です。
建設年度で危険度が変わる
参考資料4は、建設年度を確認する理由を明示しています。
「建設年度によって,配置されるPC鋼材の種類,PC鋼材の継手方法,グラウト技術が異なる。PC鋼材の突出の危険性やグラウトの充填不良によるPC鋼材の防錆機能の低下等に影響することから,建設年度を確認したうえで,横締めPC鋼材の状態の把握を行う必要がある。」
資料が並べている変遷は次のとおりです。
| 年 | 資料の記述 |
|---|---|
| 1971年(S46) | PC鋼棒がJIS規格化された(JIS G3109) |
| 1980年(S55) | 中空床版標準設計では、鋼材長が8m以上でもPC鋼棒やPC鋼線12φ5mmが使用されていた |
| 1981年(S56) | 床版標準設計では、鋼材長が8m以下の場合はPC鋼棒、8m程度からはPC鋼より線。同年に19本より線(SWPR19)がJIS規格化(JIS G3536) |
| 1991年(H3) | 中空床版標準設計では、鋼材長が8m以下の場合はPC鋼棒が使用されていた |
鋼材の種類が、壊れ方そのものを変えます。
「横締めPC鋼材にPC鋼棒やPC鋼線が使用されている場合は,PC鋼より線と比較して鋼材1本あたりのプレストレスが大きいため,腐食によって破断に至ると,緊張力の開放エネルギーが比較的大きく,定着背面への突発的な突出が生じる可能性が高い。逆に言えば,PC鋼より線は,鋼材の突出が発生していなくても,破断が生じている可能性があり,変状等からPC鋼材の状態を推定する必要がある。」
ここが読みどころです。鋼棒・鋼線は「派手に飛び出すが、見つけやすい」。より線は「飛び出さないが、静かに切れている」。より線の橋で「突出していないから大丈夫」と判断してはいけない、という警告になっています。
継手とグラウトについても、リスクの高い時期が特定されています。
「横締めPC鋼材にPC鋼棒が使用されている場合では,1994年頃まではPC鋼棒φ32mmに対してシース内径φ38mm,PC鋼棒φ26mmに対してシース内径φ32mmと空隙率が小さいシースが用いられており,グラウト充填不良が生じやすかった。さらに,横締めPC鋼材にPC鋼棒が採用され,かつ,横締めPC鋼棒長さが8m以上の場合,カップラーによる接続が実施され,このカップラーシースの空隙率が小さく,グラウト充填不良のリスクが高かった。」
「グラウトの施工は,混和剤とアルミニウム粉末を使用したグラウト材が主流であったが,1979年の専用混和剤の開発により,安定した品質のグラウト材となった。また,ブリーディングは1994年まで3%以下とされていたが,1996年にノンブリーディングタイプが推奨され,1999年には標準化された。」
充填不良が起きた機序も説明されています。「グラウトの充填不良は,ブリーディングを許容したグラウト材を使用していたため,グラウト施工直後にブリーディング水が残留して,その後,このブリーディング水が散逸してシース内に空隙が発生することも原因のひとつであったと考えられる。」。実務上は1994年以前・鋼棒・8m以上でカップラーありが重なる橋を優先順位の上に置く、という読み方になります。
水の浸入経路と、出てくる変状
腐食が主因である以上、見るべきは水の入り口と出口です。参考資料4は両方を箇条書きで示しています。
まず水が流れ込みやすい・滞水しやすい部位です。
「・桁端部,橋台天端面」「・排水装置周囲」「・間詰め部コンクリートとの打継目」「・舗装の凹凸部」「・定着部付近」
次に水の浸入による変状です。
「・桁下面,間詰め部からの漏水(跡)・遊離石灰・錆汁の発生」「・排水装置付近からの漏水(跡)・遊離石灰・錆汁の発生」「・防水機能の低下が疑われる舗装部のひびわれ・土砂化の発生」「・定着部付近の漏水(跡)・遊離石灰・錆汁の発生」
資料は入り口の推定についてこう付け加えています。「また,これに限らず,現地で見られた変状から水みちを幅広く推定することも肝要である。」。決め打ちのチェックリストではなく、現地の変状から逆算せよという指示です。漏水・滞水・土砂詰まりの扱いは漏水・滞水・土砂詰まり、床版のひびわれは床版ひびわれの評価にまとめています。
定着背面の補強材は3種類ある
既に突出防止対策が打たれている橋もあります。ただし、桁側面に貼られた補強材は目的が3つあり、見た目が似ています。
「PC鋼材の突出による第三者被害の防止を目的とした予防保全対策として,PC鋼材の定着背面に補強材が設置されているものがある。補強材は定着背面に接着工法によって設置され,鋼板を用いるものと連続繊維シートを用いるものがある。」
「連続繊維シートを用いる補強は,PC鋼材の突出防止を目的とするものだけではなく,コンクリートの剥落防止を目的とするものや曲げやせん断に対する補強を目的とするものにも使用される。」
資料が示す判別のポイントは次のとおりです。
| 目的 | 判別のポイント(資料の記述) |
|---|---|
| PC鋼材突出防止対策 | 桁側面の定着部背面に設置されており、繊維シートの内側に鋼板が設置されていることからも、突出防止対策であると考えられる |
| 剥落防止対策 | 桁や地覆側面の全面に設置されており、架橋位置が第三者の立入りの可能性がある箇所であることからも剥落防止対策であると考えられる |
| 曲げ・せん断補強対策 | プレキャスト桁の側面・下面に設置されており、繊維の方向が橋軸方向であることから、曲げに対する補強が目的であると考えられる |
設置記録が残っていない場合の考え方も書かれています。「既設橋に設置されている補強材の目的を把握するにあたっては,過去の工事記録や修繕記録等を参考にするとよいが,設置されている箇所や材料に着目することでも判別できる場合がある。」。加えて「突出防止や剥落防止に用いられる連続繊維シートは表面が網目状になっているものが多い」という見分け方も示されています。
そして、補強材そのものが新しい弱点になることにも触れています。
「補強材の劣化は,鋼板を用いた補強の場合は,鋼板や定着ボルトの腐食,連続繊維シートを用いた補強では,繊維シートや被覆の剥離等が考えられる。また,補強材の劣化を助長するものとして,被覆内部への浸水,滞水がある。補強材の劣化や母材との付着力の低下を引き起こし,補強効果が発揮されないことが懸念される。」
「補強材が設置されている箇所では,被覆内部の滞水によって内部鋼材の腐食環境を悪化させていることも考えられる。」
もっとも実務的な1行がこれです。
「また,横締めPC鋼材が既に突出している場合には,被覆材に異常な膨れが見られることがあるため,注意して観察する必要がある。」
被覆の膨れは、すでに中で突出が起きているサインになりえます。資料は最後にこうまとめています。「以上のことからは,共通して被覆のうきや割れ,膨れ,漏水等の変状が生じていないかを注意深く観察することや,打音による母材のうきや剥離を確認することが重要である。」。補修・補強材の損傷は補修・補強材の損傷、その抜け落ちは補修・補強材の抜け落ち、うきの評価はうきの損傷程度の評価に整理しています。
点検そのものの安全と、非破壊検査の限界
参考資料4の「3.定期点検の留意事項」は、近接目視の限界から書き始めています。
「なお,近接目視による変状の把握には限界がある。そこで,構造の特性によっては外観の状態によらず予防的な対策を施すことや,必要に応じて詳細調査を行うことを検討しなければならない。」
「外観の状態によらず」という言い方に注意が要ります。見て異常がなくても、構造の条件次第では先に手を打つ選択肢を検討せよ、という趣旨です。近接目視の位置づけは近接目視とは何か、詳細調査への渡し方は詳細調査(S1・S2)の考え方で扱っています。
非破壊検査については、はっきりと未確立だと書かれています。
「横締めPC鋼材やグラウトの状態を把握するための非破壊による調査方法は様々提案されているが,性能の評価法や性能の比較法は未だ確立されていないと言える。そこで,非破壊検査の原理やそれに応じた適用条件,及び,検査原理や機器の特性が検査結果に及ぼす影響や,様々な条件に対する誤差範囲を把握したうえで,検査の適用,検査結果の解釈や活用に反映させる必要がある。」
技術を選ぶ側の判断材料としては、点検支援技術性能カタログと新技術の導入手順、NETISと性能カタログの違いが参考になります。
そして、調査に入る前の安全です。
「また,すでに一部の横締めPC鋼材にて突出が生じていたり,腐食が進行していることが懸念される場合には,側面からの調査に対する安全性の確保が困難であることが想定される。突出対策を行ってから調査を行うなど,第三者被害の防止のみならず,調査などのための必要な安全対策を講じるのがよい。」
対策してから調査する、という順番が示されています。通常は調査してから対策を決めますが、この損傷では順序が逆になりうるということです。第三者被害の予防措置そのものは第三者被害の予防措置にまとめています。
着目すべき変状を部位別に
「3.定期点検の留意事項」の後半は、部位ごとに着目すべき変状と破断・突出に対するリスクとの関係を対にした事例集になっています。部位と変状の対応は次のとおりです。
| 部位 | 着目すべき変状 |
|---|---|
| 中空床版橋、T桁橋の側面 | 漏水・遊離石灰、ひびわれ、錆汁、コンクリート浮き・剥離、横締めPC鋼材の突出 |
| 中空床版橋、T桁橋の横締めPC鋼材定着部 | (同種の変状。定着部背面の状態に着目) |
| 中空床版橋、T桁橋の床版間詰め部 | 漏水・遊離石灰、ひびわれ、錆汁 |
| 中空床版橋の主桁下面部 | ひびわれ、漏水・遊離石灰、錆汁、コンクリート浮き・剥離 |
| 連続繊維シート補強における変状 | 漏水、白色析出物 |
個々の事例の読み方は共通しています。たとえば側面の事例では、被覆コンクリートのひびわれと遊離石灰について「横締めPC鋼材部への水の浸入,その後,横締め鋼材に沿った水の排出が生じていることが疑われる。」と、変状を水の経路に翻訳しています。
浮き・剥離が出ている事例では、判断がさらに踏み込みます。「既に横締めPC鋼材が破断した可能性が疑われる。横締めPC鋼材が破断していない場合も,定着部での腐食の進行や,横締めPC鋼材の腐食していることも懸念される。当該箇所だけでなく他の横締めPC鋼材の破断・突出の発生を想定し,第三者被害の防止や点検,調査における二次被害の防止も検討する必要がある。」
主桁下面の事例では、橋軸方向のPC鋼材に沿ったひびわれについて「PC鋼材に沿ったひびわれはASRの特徴的変状の一つである。」とし、上面から水が入っている疑いと、橋軸方向・横締めを含む内部鋼材全般への水の到達へ話をつなげています。ひびわれの幅の基準はひびわれ幅の基準、変色・劣化は変色・劣化、うき・剥離の調査手法は赤外線によるうき・剥離調査を参照してください。
ひとつの変状を「その場所の損傷」として閉じず、水の経路と同じ橋の他の鋼材へ広げて読む。参考資料4が一貫して求めているのはその読み方です。損傷種類の全体像は道路橋の損傷26種類、コンクリート部材の個別損傷はコンクリート部材の個別の損傷にまとめています。
よくある質問
Q. 横締めPC鋼材の突出とは何ですか。
A. プレテンションPC床版橋で、桁を横方向に締めているPC鋼材が腐食で破断し、橋の外へ突き出す不具合です。参考資料4は「これまでに,これらの構造を有する床版橋で,横締めPC鋼材が破断し,橋梁外部へ突出した不具合事例が複数報告されている。」としています。主な発生要因は腐食で、活荷重による衝撃などがきっかけになると説明されています。
Q. 1本突出したら、その1か所を直せば済みますか。
A. 済まない前提で考えるよう書かれています。「同一橋梁内の別の横締めPC鋼材の腐食環境も悪化している可能性があり,比較的短い期間で連続して横締めPC鋼材の破断・突出が起こることも考慮して診断や措置の必要性について検討しなければならない。」とされ、1本目の突出から約4か月後に同じ橋で2本目が突出した事例が示されています。
Q. 塩害地域でなければ心配ないですか。
A. 資料はそう切っていません。「これまでの突出事例からは,飛来塩分や凍結融解材の散布の違いが発生の有無に顕著に影響したとの知見はない一方で,建設年度に応じた使用材料の違い,橋の幅員に応じた細部構造の違いによる影響が大きいとの知見もある。」としています。建設年度と細部構造を先に確認するのが資料の立て方です。
Q. 突出していなければ鋼材は健全と考えてよいですか。
A. 鋼材の種類によります。「PC鋼より線は,鋼材の突出が発生していなくても,破断が生じている可能性があり,変状等からPC鋼材の状態を推定する必要がある。」とされています。一方でPC鋼棒やPC鋼線は1本あたりのプレストレスが大きく、破断すると突発的に突出する可能性が高いとされています。
Q. 桁側面に貼られたシートは、突出防止の対策と考えてよいですか。
A. 限りません。連続繊維シートは突出防止のほか、剥落防止や曲げ・せん断補強にも使われます。資料は、突出防止は「桁側面の定着部背面に設置されており,繊維シートの内側に鋼板が設置されている」、剥落防止は「桁や地覆側面の全面に設置されて」いる、曲げ・せん断補強は「繊維の方向が橋軸方向である」といった判別のポイントを示しています。
Q. 非破壊検査で内部の状態を確認できますか。
A. 資料は未確立だとしています。「横締めPC鋼材やグラウトの状態を把握するための非破壊による調査方法は様々提案されているが,性能の評価法や性能の比較法は未だ確立されていないと言える。」とされ、原理・適用条件・誤差範囲を把握したうえで結果を解釈するよう求めています。
出典・適用範囲
国の要領と自治体のマニュアルの関係は国の要領と自治体マニュアルの関係、直轄の要領と技術的助言の2本立ては橋梁定期点検要領が2種類ある理由、令和6年改定の全体像は令和6年改定の要点にまとめています。健全性の区分そのものは健全性の診断区分Ⅰ〜Ⅳとは、通行止めとの関係は健全性Ⅳは必ず通行止めになるのかをご覧ください。