この記事の要点
  • 対象は間詰めコンクリートを有するPCT桁橋のうち、プレテン桁は設計が1971年以前または竣工年が1974年以前/ポステン桁は設計が1969年以前または竣工年が1972年以前の橋梁。要領は「以前」とは当該年度を含むと注記している
  • 書類調査で見るのは①主桁上フランジのテーパーの有無 ②間詰め床版と主桁との連結鉄筋(差し筋)の有無の2項目だけ。どちらか有りならそこで終わりで、ともに無しまたは不明のときに詳細近接目視調査へ進む
  • 竣工図が無ければ鉄筋探査機等の非破壊検査で1格間程度/1橋当りを確認する。全格間ではない。ただし主桁本数・主桁間隔が変わる場合やプレテンとポステンが混在する場合はそれぞれ1格間程度
  • 詳細近接目視の重点は4項目。先頭が桁端部付近の開口進行性ひび割れ(0.1〜0.2mm)の有無で、ミリ単位の幅が最初から示されている
  • ランクは径間単位で、第三者被害の予想される径間かどうかと損傷の有無の2軸。A=被害予想あり・損傷あり/B=被害予想あり・損傷なし/C=それ以外・損傷あり/D=それ以外・損傷なし
  • 打音検査などで間詰め床版が桁と異なって独自に動いていることが分かった場合は、即時緊急対策と定められている。ランク付けを待たない

PCT桁橋の間詰めコンクリートが落ちる話は、定期点検要領の中の一項目として扱われていると思われがちです。実際には、この部位だけを対象にした専用の要領が別に1本あります。「PCT桁橋の間詰めコンクリート点検要領(案)」(平成15年1月・国土交通省道路局国道課)で、本文と参考資料をあわせて全22ページの短い要領です。

短いのに実務で効くのは、「どの橋を見るか」を机上で決め切るところまで書いてある点です。要領は対象橋梁の選定を設計年と竣工年の4つの年号で区切り、そのうえで書類調査で見る項目を2つに限定しています。現地に出る前に対象が絞れるので、点検の仕様や工程を組む側にとっては使いやすい構成になっています。

この記事では、対象橋梁の選定条件、書類調査の2項目、鉄筋探査機を1格間だけ当てる理由、詳細近接目視の重点4項目、径間単位のランクA〜Dの決まり方、記録様式3枚と8つの損傷パターンまでを、要領(案)の原文から整理します。抜け落ちそのものの評価区分は抜け落ちと補修・補強材の損傷:対策済みの箇所が落ちる、桁間に打設された間詰めコンクリートと横締めPC鋼材の関係は横締めPC鋼材の突出|PC床版橋で起きる破断の兆候と見方が対応します。

定期点検とは別建ての、部位1つの要領

この要領(案)は、適用の範囲を次のように定めています。

「本要領(案)は、国土交通省各地方整備局、北海道開発局、または内閣府沖縄総合事務局が管理する一般国道に係るPCT桁橋の間詰めコンクリートの点検に適用する。」

橋の全体ではなく、間詰めコンクリートという1つの部位だけを対象にした要領です。目的も落下に絞られています。

「本要領(案)に基づく橋梁点検は、PCT桁橋の間詰めコンクリートの損傷を早期に発見することにより、安全・円滑な交通を確保するとともに、落下に伴って桁下の第三者に与える被害を未然に防止することを目的に実施する。」

読み方として大事なのは、定期点検の中の一手順ではないことです。定期点検は橋全体を5年に1回の頻度で回す枠組みで、こちらは特定の形式・特定の年代の橋に対して、特定の部位を見に行く点検です。定期点検以外の点検の種類と位置づけは定期点検だけではない橋梁点検|通常・中間・特定・異常時点検とはで整理しています。

適用の範囲が「国が管理する一般国道」と書かれている点にも注意が必要です。自治体が管理する橋に対して、この要領(案)がそのまま適用されるとは要領は述べていません。国の要領と自治体のマニュアルの関係は国交省要領と都道府県の点検マニュアルの関係:どちらに従う?で扱っています。

対象になるのは4つの年号に当たる橋だけ

要領(案)は、対象とする損傷のおそれのある橋梁を2つの条件で定めています。

「① 間詰めコンクリートを有するPCT桁橋で ② プレテン桁は、設計が1971年(昭和46年)以前、または竣工年が1974年(昭和49年)以前の橋梁。ポステン桁は、設計が1969年(昭和44年)以前、または竣工年が1972年(昭和47年)以前の橋梁。」

そのうえで「*)「以前」とは当該年度を含む。」という注記が付いています。境界の年がどちらに入るかで対象数が変わるので、台帳から抽出するときはこの注記まで含めて条件式を書く必要があります。

桁形式設計年竣工年
プレテン桁1971年(昭和46年)以前1974年(昭和49年)以前
ポステン桁1969年(昭和44年)以前1972年(昭和47年)以前

条件は「または」でつながっています。設計年と竣工年のどちらか一方が該当すれば対象になるので、台帳に竣工年しかない場合でも竣工年側の基準で拾える構成です。橋梁台帳に何が載っているかは橋梁台帳とは?道路台帳との違いと閲覧を参照してください。

なお、この4つの年号は別の資料にも出てきます。定期点検要領の参考資料(S1・S2)側では、同じ年号が「無筋の可能性があることが知られている」範囲として示されており、そちらは詳細調査へ進める判断材料という位置づけです。同じ数字が、こちらでは点検対象橋梁の選定条件として使われています。参考資料側の読み方は抜け落ちと補修・補強材の損傷:対策済みの箇所が落ちるにまとめてあります。

書類調査で見るのは2項目だけ

点検は図4.1の手順に従って進みます。選定条件に当たった橋に対して、まず書類調査です。

要領(案)の解説は「点検対象橋梁に対して、必要な資料の収集を行う。収集する資料は、橋梁台帳、定期点検調書、竣工図などであり、これらから橋梁諸元、床版の既往損傷状況、横締めPC鋼材間隔、連結鉄筋(差し筋)の有無等を把握する。」としています。

そして次の1文が、この要領の分岐の核です。

「以下の2項目がともに無い場合は詳細近接目視点検を行う。① 主桁上フランジのテーパーの有無 ② 間詰め床版と主桁との連結鉄筋(差し筋)の有無」

フロー図のほうでは、この分岐は「どちらか有り」ならそこで打ち切り、「ともに無し or 不明」なら詳細近接目視調査へという形で描かれています。つまりテーパーか差し筋のどちらかがあることが書類で確認できれば、現地に出る必要がないという組み立てです。

選定条件に当たった橋の数がそのまま現地点検の数になるわけではない、という点が工程を組むうえで重要です。年代だけで拾った母数に対して、書類調査の段階で2項目のどちらかが確認できた橋は落ちていきます。

鉄筋探査機は1格間でよい

書類で分からないときの扱いも決められています。

「竣工図が無い場合には、非破壊検査(鉄筋探査機等)により連結鉄筋(差し筋)の有無の確認を行う。(1格間程度/1橋当り)」

格間の定義も要領(案)が置いています。「* 格間とは主桁と横桁で囲まれた部分を言う。」

数量の指定が「1格間程度/1橋当り」であることに注意してください。全格間を探査する前提ではありません。調査の場所と手段も具体的です。

「調査箇所は足場が確保しやすい桁端部付近とし、調査方法は梯子等により行う。」

ただし、1橋の中で条件が変わる場合は例外が付きます。

「なお、1橋の中で条件が変わる場合はそれぞれ1格間程度調査を行う。条件が変わる場合とは、① 主桁本数、主桁間隔が変わる場合 ② プレテン、ポステンが混在する場合 などである。また、拡幅橋の場合は既設側・新設側それぞれ確認する。」

拡幅橋が明示されているのは、拡幅の時期が違えば桁の仕様も違うためです。1橋という数え方のまま1格間で済ませると、拡幅部分を見落とすことになります。1橋の数え方そのものは道路統計年報と道路メンテナンス年報|橋の数が4倍違う理由でも触れています。非破壊検査という言葉の範囲はセンシング・モニタリング・非破壊検査の違い|3つの定義と使い分けが対応します。

詳細近接目視と打音で見る4項目

連結鉄筋が無いと分かった橋では、調査の範囲が一気に広がります。

「連結鉄筋が無い橋梁に対して、詳細近接目視調査および打音検査(清音、濁音の確認)を行う。(全径間、全格間) なお、損傷の有無の確認は径間単位とする。」

鉄筋探査が1格間だったのに対し、こちらは全径間・全格間です。一方で、損傷の有無をまとめる単位は格間ではなく径間と定められています。記録の粒度と作業の粒度が違うので、調書の様式も径間単位で組まれています。

重点的に見る部位・事項は4つです。

順重点的に行う対象(原文)
①桁端部付近の開口進行性ひび割れ(0.1〜0.2mm)の有無
②横締めPC鋼材付近のひび割れの確認
③貫通ひび割れの確認(漏水、遊離石灰の有無)
④桁と床版接合部のひび割れの確認

①で0.1〜0.2mmという幅が示されているのは、この要領を実務で使うときの要点です。定期点検で一般に注目される幅より細い段階で拾う指示になっており、近接して見なければ判別できない大きさです。ひびわれ幅の基準の考え方は橋梁のひび割れ幅の評価基準:0.2mm・0.3mmの意味と測定方法、近接目視という語の意味は近接目視とは?定義と「同等の評価が行える他の方法」の要件で扱っています。

そして、フローを待たずに動く条件が1つだけ置かれています。

「ただし、打音検査等によりすでに間詰め床版の挙動が桁と異なって独自に動いていることが分かった場合は即時緊急対策を実施する」

あわせて「(必要に応じてプレストレス量の確認(フラットジャッキ法、ひずみゲージ法)を行うこととする。)」という記述もあります。打音検査の実務は点検中の叩き落とし作業とは?ハンマーの重さと打音の間隔が対応します。

第三者被害の予想される径間と、ランクA〜D

ランク付けの前に、この要領(案)は第三者を定義しています。

「第三者とは、一般に当事者以外の人をいうが、本要領(案)では、道路管理者に従事する者を除く、当該橋梁に接近する人、車および列車等をいう。」

列車が明示的に含まれています。そのうえで、第三者被害の予想される径間を4つ挙げています。

順第三者被害の予想される径間(原文)
①桁下を他の道路が交差する径間
②桁下を鉄道が交差する径間
③桁下を公園あるいは駐車場として使用している径間
④接近して側道等が併行する径間

③と④には例が添えられており、判断の目安がそこで数値化されています。③の例は「河川内で高水敷が河川公園等で第三者が立ち入る可能性がある場合」、④の例は「併行する物件(側道等)から間詰めコンクリートまで1m未満に近接している場合」です。1m未満という距離が示されているのは④だけです。

要領(案)は「第三者被害の可能性の有無の確認は径間単位とする。」としています。損傷の有無も径間単位なので、2つの軸がどちらも径間単位で揃います。その組み合わせがランクです。

径間の条件損傷が有る径間損傷が無い径間
第三者被害の予想される径間AB
上記以外の径間CD

この対応は、要領(案)の図4.1に置かれた凡例の記載にそのまま対応しています。要領(案)の本文側にはA〜Dの文章による定義は置かれておらず、ランクの意味はこの図の凡例と記録様式の欄で示されています。各ランクに対してどの対策を行うかについては、この要領(案)は定めていません。

フロー上では、選定条件に当たらない橋、書類調査で2項目のどちらかが有りと分かった橋、連結鉄筋が有りと確認された橋は、いずれも「OK」として図の左側で終わります。ランクが付くのは詳細近接目視調査まで進んだ径間です。第三者被害の予防という枠組みそのものは第三者被害予防措置とは?定期点検の中間年に行う打音検査、橋梁利用者と第三者の区別は横断歩道橋では渡っている人も「第三者」|落下予防の対象が道路橋と違うが対応します。

様式3枚と、8つの損傷パターン

記録については「(1)点検結果は所定の点検表に記録する (2)点検結果の記録は適切な方法で保管し、必要なときに随時利用できるよう保管するものとする。」と定め、解説で「なお、記録した点検結果は、今後の維持管理に有効に活用できることから、データベースに格納し適切に保管されていることが望ましい。」と添えています。

参考資料Ⅰ「点検記録記入要領(案)」に様式が3枚あります。

様式表題単位
様式-1橋梁諸元および点検基礎データ/橋梁一般図橋梁単位
様式-2損傷図および写真位置図(詳細近接目視調査)径間単位
様式-3損傷写真台帳径間毎に作成

様式-1には、橋梁名・橋梁整理番号1・管理者・路線名・現旧区分・距離標・橋長・幅員・径間数・架設年次・設計示方書・設計活荷重・構造形式(上部工・下部工)・横締PC鋼材間隔・連結鉄筋の有無・上フランジテーパーの有無・近接点検日・調査職員名・点検会社名・点検員名の欄があります。連結鉄筋の有無と上フランジテーパーの有無が欄として立っているのは、この2項目が分岐の条件そのものだからです。

記入要領は資料の出どころまで指定しています。「橋梁諸元および点検基礎データは、原則としてMICHIおよび竣工図より調査し記入する。なお、書類調査で記録の全項目を記入できない場合には、現地調査により全項目の記入に努める。」

橋梁一般図については「橋梁台帳等より橋梁一般図を記入する。なお、車輌走行時の輪荷重載荷位置を断面図に明記する。」とあります。輪荷重の載荷位置を断面図に書き込ませているのは、間詰め部の上をタイヤが通るかどうかが損傷の見方に関わるためと読めます。

様式-2に図示する損傷は、8つの記号で分類されています。

記号損傷パターン
a橋軸方向ひび割れ(端部)
b橋軸方向ひび割れ(中間部)
c橋軸直角方向ひび割れ(PC鋼材近傍)
d橋軸直角方向ひび割れ(その他)
e斜め方向ひび割れ
f不規則なひび割れ
g打継目に沿ったひび割れ
h遊離石灰・漏水

この8記号はこの要領(案)の独自の分類で、定期点検要領の損傷パターン番号とは別の体系です。記号が小文字のa〜hであることも、健全性の判定区分や対策区分の記号とは紛れやすいところです。定期点検側のパターン番号は損傷パターン番号とは?調書に記録する番号の意味で扱っています。

様式-3については「損傷写真台帳は、径間毎に作成する。」とされ、写真番号・部材位置・備考の欄が並びます。記入例では部材位置が「G1 ~G2、A1~Y1」のように主桁と格間の範囲で書かれています。点検調書全体の書き方は橋梁点検調書の構成と書き方:様式の全体像と記入の要点が対応します。

実施体制と、点検員に求められる実務経験

実施体制は人数まで書かれています。

「点検作業班1班あたりの実施体制は、点検員1名、点検補助員2~3名が一般的であり、点検車運転員および交通整理員は、橋梁の立地条件や交通状況等に応じて実施体制に加えるものとする。」

4つの職種の作業内容も表で定義されています。交通整理員については「道路工事保安施設設置基準(案)、建設工事公衆災害防止対策要綱、道路工事の安全施設設置要領(案)に基づき橋梁ごとの交通条件を考慮して編成人員を決定する。」とされ、人数を橋ごとに決める建て方です。

規制について、点検員の責任も明記されています。「このため、点検員は、公安委員会に対して事前に協議した規制図を遵守しているか、交通整理員が安全に通行車両を誘導できるかを確認して、調査を行わなければならない。」交通規制と保安の手続きは橋梁点検の交通規制は誰が決めるのか。要領に無く積算にあるで整理しています。

携行する器具も具体的です。点検用具として「鉄筋探査機、スケール、ノギス、双眼鏡、ハンマー(打音検査用)、防じんマスク、防じん眼鏡、ブルーシート 等」、点検用機材として「高所作業車、梯子、照明設備、清掃用具、交通安全・規制用具 等」が挙げられています。鉄筋探査機とノギスが同じリストに並ぶのは、この点検が探査と目視の両方を1回の出動で行う前提だからです。高所作業車の資格区分は橋梁点検車とは?高所作業車との違いと必要な資格で扱っています。

点検員の要件は、資格名ではなく実務経験で書かれています。

「点検員はコンクリート橋梁に関する専門技術を十分に有するものとする。」という規定に対し、解説は「本点検は、変状原因を推定するなど、専門的知識を必要とするため、点検員はコンクリート橋梁に関する計画、設計、施工や維持管理等の専門技術を有するものでなければならないこととした。」としています。業務委託の場合は次の経験を有することが望ましいとされています。

区分望ましいとされる実務経験(原文)
(イ)大学卒業後5年以上の橋梁に関する実務経験を有するもの
(ロ)短大・高専卒業後8年以上の橋梁に関する実務経験を有するもの
(ハ)高校卒業後11年以上の橋梁に関する実務経験を有するもの
(ニ)前項の(イ)~(ハ)と同等以上の能力を有するもの

資格の名称が1つも出てこないのが特徴です。点検に関わる資格の整理は橋梁点検に必要な資格とは?技術者要件と主な登録資格を整理を参照してください。

選定から記録までを1橋で追う

編集部が、ここまでの要領(案)の記述だけを使って、桁下を鉄道が交差する3径間のPCT桁橋を想定して並べたものです。要領(案)に載っている事例ではありません。各行の根拠は上の各節に示した原文です。

順行為要領(案)のどこに当たるか
1台帳からPCT桁橋を抽出し、竣工年S43のポステン桁が条件に当たることを確認3.点検対象橋梁の選定(ポステンは竣工1972年以前)
2橋梁台帳・定期点検調書・竣工図を集め、横締めPC鋼材間隔と差し筋の有無を確認4.1(1)書類調査
3竣工図が見つからず、テーパーと差し筋のどちらも不明と判定「ともに無し or 不明」の分岐
4桁端部付近の1格間で鉄筋探査機を当て、差し筋が無いことを確認4.1(2)(1格間程度/1橋当り・梯子等)
5全径間・全格間で詳細近接目視と打音検査を実施し、損傷の有無は径間でまとめる4.1(2)(全径間、全格間・径間単位)
6桁端部付近に0.15mmの開口進行性ひび割れを確認し、様式-2にaで図示重点4項目の①/損傷パターンa
7桁下が鉄道の径間で損傷が有ったため、その径間をランクAとして記録第三者被害の予想される径間②/図4.1の凡例
8残る径間は桁下に第三者が立ち入らず損傷も無いため、ランクD上記以外の径間・損傷が無い径間

この並べ方をすると、判断が集中するのは3と4です。竣工図が無い橋では、机上の2項目で終われず必ず現地に出ることになります。工程と費用に効くのはここなので、台帳で年代を絞った段階で竣工図の保有状況まで併せて確認しておくと、現地点検の本数の見込みが立ちます。

床版のひびわれを評価の区分としてどう扱うかは床版ひびわれの評価a〜e:格子の大きさと漏水で決まるが対応します。

よくある質問

PCT桁橋の間詰めコンクリートに専用の点検要領があるのですか。

あります。「PCT桁橋の間詰めコンクリート点検要領(案)」(平成15年1月・国土交通省道路局国道課)で、本文と参考資料をあわせて22ページの要領(案)です。適用の範囲は、国土交通省各地方整備局、北海道開発局、または内閣府沖縄総合事務局が管理する一般国道に係るPCT桁橋の間詰めコンクリートの点検とされています。

点検の対象になる橋はどう絞りますか。

間詰めコンクリートを有するPCT桁橋のうち、プレテン桁は設計が1971年(昭和46年)以前または竣工年が1974年(昭和49年)以前、ポステン桁は設計が1969年(昭和44年)以前または竣工年が1972年(昭和47年)以前の橋梁です。要領(案)は「以前」とは当該年度を含むと注記しています。設計年と竣工年は「または」でつながっているため、竣工年しか分からない場合でも絞り込みができます。

書類調査で何を確認すれば現地に出なくてよくなりますか。

①主桁上フランジのテーパーの有無と②間詰め床版と主桁との連結鉄筋(差し筋)の有無の2項目です。要領(案)は「以下の2項目がともに無い場合は詳細近接目視点検を行う」としており、フロー図ではどちらか有りの場合はそこで終わる形で描かれています。

鉄筋探査機は全部の格間に当てる必要がありますか。

ありません。要領(案)は「1格間程度/1橋当り」としています。ただし1橋の中で条件が変わる場合はそれぞれ1格間程度の調査が必要で、条件が変わる場合として主桁本数・主桁間隔が変わる場合とプレテン・ポステンが混在する場合が挙げられています。拡幅橋は既設側・新設側それぞれ確認するとされています。

詳細近接目視では何を重点的に見ますか。

4項目です。①桁端部付近の開口進行性ひび割れ(0.1〜0.2mm)の有無、②横締めPC鋼材付近のひび割れの確認、③貫通ひび割れの確認(漏水、遊離石灰の有無)、④桁と床版接合部のひび割れの確認です。あわせて打音検査(清音、濁音の確認)を全径間・全格間で行い、損傷の有無の確認は径間単位とされています。

ランクA〜Dはどう決まりますか。

径間単位で、第三者被害の予想される径間かどうかと損傷の有無の2軸で決まります。図4.1の凡例では、第三者被害の予想される径間で損傷が有る径間がA、同じ径間で損傷が無い径間がB、上記以外の径間で損傷が有る径間がC、損傷が無い径間がDです。要領(案)の本文側にA〜Dを文章で定義した規定は置かれておらず、各ランクに対する対策の内容もこの要領(案)は定めていません。

ランク付けを待たずに動かなければならない場合はありますか。

あります。要領(案)は「ただし、打音検査等によりすでに間詰め床版の挙動が桁と異なって独自に動いていることが分かった場合は即時緊急対策を実施する」としています。あわせて、必要に応じてプレストレス量の確認(フラットジャッキ法、ひずみゲージ法)を行うこととするという記述があります。

点検員に必要な資格は決まっていますか。

資格名での指定はありません。要領(案)は「点検員はコンクリート橋梁に関する専門技術を十分に有するものとする」と定め、業務委託により点検を行う場合は、大学卒業後5年以上、短大・高専卒業後8年以上、高校卒業後11年以上の橋梁に関する実務経験、またはこれらと同等以上の能力を有することが望ましいとしています。

出典・適用範囲

本記事は、PCT桁橋の間詰めコンクリート点検要領(案)に何が書かれているかを原文から読み解くための実務解説です。扱っているのは、対象橋梁の選定条件・点検の手順と分岐・重点項目・ランクA〜Dの区分・記録様式と記入要領までです。要領(案)に図として収められている解説図(主桁上フランジのテーパーと連結鉄筋の図、鉄筋探査機の例、第三者被害の予想される径間の例示図、損傷図および写真位置図の作図例)の内容、各ランクに対する対策の選定、およびプレストレス量の確認方法(フラットジャッキ法・ひずみゲージ法)の実施手順は扱っていません。また、この要領(案)は平成15年1月に国が管理する一般国道を対象として示されたもので、現行の定期点検要領の一覧には収められていません。自治体が管理する橋に適用するかどうか、現在どの範囲で運用されているかは道路管理者の判断によります。要領(案)からの引用は、当夜取得したPDFの表記(漢数字・全角数字・句読点を含む)をそのまま転記しています。