この記事の要点
  • 要領は「横断歩道橋の利用者又は横断歩道橋が横架する道路等の利用者(以下,第三者という)」と定義している。橋上の利用者が第三者に含まれる
  • 対象部位はコンクリート部材・鋼部材の断面の一部・ボルト類・目地まで。コンクリート片の落下に限らない
  • 措置対象範囲の規定はこの要領に無く、「橋梁定期点検要領 付録-2」によると書かれている
  • この章の範囲は①被害の可能性のある損傷の点検 ②発見された損傷への応急措置の2つに「とどめている」。詳細調査・補修方法は別途
  • 位置図には対象範囲だけでなく点検できなかった範囲・非破壊検査で「異常なし」とした範囲も凡例付きで描く

横断歩道橋の第三者被害予防を、道路橋と同じ段取りで組んでいませんか。対象範囲の図を描き、打音して、落として記録する——手順は確かに似ています。

ただ、直轄の「歩道橋定期点検要領」(令和6年9月)を開くと、「第三者」の定義そのものが道路橋と違います。橋の下を通る人・車だけでなく、橋を渡っている利用者も第三者に入ります。定義が違えば、見る範囲も、記録に残す内容も変わります。この記事では第3章「横断歩道橋利用者及び第三者被害の予防」を原文で確認します。

要領が「第三者」を定義し直している

第3章1.「総則」の(1)が、この章の全体を決めています。

「定期点検では,横断歩道橋本体等からのコンクリート片又は腐食片,ボルト類,その他目地材などの一部が落下し,横断歩道橋の利用者又は横断歩道橋が横架する道路等の利用者(以下,第三者という)に対して被害が生じることを極力予防するための措置(以下,第三者被害等の予防措置という)を講ずる。」

読み落としやすいのは括弧の位置です。「以下,第三者という」が利用者と横架する道路等の利用者の両方にかかっています。道路橋の第三者被害予防措置(第三者被害予防措置とは?定期点検の中間年に行う打音検査)で想定しているのは橋の下を通る人や車ですが、横断歩道橋では橋上を歩いている人も同じ「第三者」として扱われます。

章の名前自体が「横断歩道橋利用者及び第三者被害の予防」と二者を並べているので、見出しだけ読むと別物に見えます。本文の定義では、利用者を含めたものが第三者です。

これは現場では範囲の話になります。下を通る道路の上にある範囲だけを対象にすると、橋上側(床版の上面・手すり・階段の蹴上げ付近)から落ちるものが抜けます。横断歩道橋の構造部分の立て方は横断歩道橋の階段部は7つのシステムで見る|直轄版の部材群の立て方に整理しています。

定期点検の目的そのものに利用者が入っている

第3章が利用者を入れているのは、章の独自の判断ではありません。第1章2.「定期点検の目的」の(1)が先にそう書いています。

「定期点検は,横断歩道橋利用者や第三者への被害の回避,落橋など長期にわたる機能不全の回避,長寿命化への時宜を得た対応などの横断歩道橋に係る維持管理を適切に行うため,横断歩道橋の最新の状態を把握するとともに,次回の定期点検までの措置の必要性の判断を行ううえで必要な情報を得ることを目的とする。」

そして第1章の維持管理フロー(図-2.1)は、定期点検を3本の柱に割っています。

柱この要領の章中身
点検・診断第2章状態の把握 → 性能に関する技術的な評価 → 措置の必要性の検討
横断歩道橋利用者及び第三者被害の予防第3章コンクリート片/その他に分けた損傷の把握 → 損傷に対する応急措置
状態の記録第4章外観性状の記録・損傷程度の評価(横断歩道橋の「状態の記録」は主観を入れない|歩道橋検査員の仕事)

3本はそれぞれ記録・保存まで独立に走り、その先で「横断歩道橋毎の健全性の診断の区分の決定」に合流します。フロー図の最下段には、緊急対応の必要性の判定(E)・詳細調査の必要性の判定(S1)・追跡調査の必要性の判定(S2)・維持工事等での対応の必要性の判定(M)が並びます。M判定の扱いはM判定(維持工事等での対応)とは?区分の意味と記録、記号の全体像は対策区分(A・B・C1・C2・E1・E2・M・S1・S2)一覧と判定の考え方を参照してください。

第3章は「点検の一部として行う措置」であって、別発注の安全対策ではない、という位置づけです。要領の全体像は横断歩道橋定期点検要領とは?令和6年改定で加わったA〜C評価を解説にまとめています。

対象部位はコンクリート片だけではない

第3章2.「措置の対象」(1)は、対象を部材の種類で区切っていません。

「措置の対象部位は,コンクリート部材,鋼部材などの部材断面の一部やボルト類や目地などが落下することによって横断歩道橋の利用者や第三者に対して被害を及ぼす可能性がある全ての部位・部材を対象に行う。」

章の構成も2本立てです。

節対象手段
4.「コンクリート部材を対象としたコンクリート片の落下に対する予防措置」コンクリートのうき・剥離打音検査等で把握 → 叩き落とし
5.「その他,鋼材の腐食片などの落下に対する予防」腐食、防食機能の劣化、ボルトのゆるみ、目地材の劣化等落下の可能性があるものの除去、ボルトの締め直し等

5.(1)の原文は「腐食,防食機能の劣化,ボルトのゆるみなど,定期点検の過程で把握した損傷等のうち,横断歩道橋本体や付属物等からの腐食片,部材片,部品等の落下につながるものや,その他目地材の劣化等に伴う落下について,落下の可能性があるものの除去,ボルトの締め直しなど,その場での応急処置が可能なものについては適切な措置を行う。」です。

「その場での応急処置が可能なものについては」が条件になっています。できるものはその場でやる、できないものは次節のとおり報告する、という分かれ方です。該当する損傷の見方は防食機能の劣化とは?腐食との違いと分類1〜3とゆるみ・脱落の評価は「一群の5%」で分かれるに整理しています。

範囲を決める規定は、この要領の中に無い

第3章2.(2)は「措置対象範囲は,横断歩道橋の利用者や第三者被害の危険性を考慮して適切に設定する。」とだけ書きます。具体の決め方は解説にあります。

「横断歩道橋が横架する道路等の利用者への第三者被害の予防措置の対象範囲は,第三者被害の危険性を考慮し適切に設定する。なお,措置対象範囲の設定は「橋梁定期点検要領 付録-2第三者被害を予防するための橋梁点検の対象範囲」(令和6年7月国土交通省道路局国道・技術課)による。」

つまり、歩道橋の要領は範囲の規定を自前で持たず、橋梁側の付録を参照しています。横断歩道橋だけを担当していると、この1行を見落として「範囲の根拠が要領に無い」という結論になりがちです。参照先の付録-2の図の読み方は第三者被害の措置対象範囲は75°で決まる|付録-2の図の読み方にまとめています。

注意したいのは、参照されているのが「横架する道路等の利用者への」範囲の設定だという点です。橋上の利用者側は、この付録の図ではなく第3章2.(1)の「全ての部位・部材」で押さえる構成になっています。

この章がやるのは「点検」と「応急措置」の2つだけ

第3章1.の解説は、この章の守備範囲を限定しています。

「本章は,定期点検時に行うことができる横断歩道橋の利用者及び第三者被害の予防を目的とし,① 第三者被害の可能性のある損傷の点検 ② 発見された損傷に対する応急措置(叩き落とし作業など)を規定するにとどめている。その程度や発生原因を把握するための詳細調査,補修方法については別途の検討が必要である。また,ハンマーによる打撃では容易には除去できないものに対しても,別途の対応が必要であり,そのようなものが疑われる異常を見つけた場合には,道路管理者に報告する必要がある。」

実務で効くのは最後の一文です。叩いて落ちないものは、この章の仕事ではありません。無理に落とすのでも、放置するのでもなく、報告に回す経路が指定されています。

また同じ解説は「横断歩道橋の状態は,横断歩道橋の構造形式,供用年数及び周辺環境等等によって千差万別である。このため,実際の措置に当たっては,本章の内容を参考にしながら,個々の横断歩道橋の状況に応じて第三者被害予防の目的が達成されるよう,十分な検討を行う必要がある。」と書いています。章の規定は標準であって、現地での検討を省く根拠にはなりません。

「一見したところ健全と思える箇所」が主な対象

第3章4.1「落下する可能性のある損傷」は、対象範囲を全面に広げています。(2)は「(1)の点検や予防措置は,コンクリート部材の全ての範囲で実施する。」です。

解説はその理由を、想定の置き方として書いています。

「ただし,一見したところ健全と思える箇所についても,うき・剥離の可能性は否定できない(本章では,むしろこのような個所を主な対象と想定している。)ので,目視により確認できる損傷箇所以外についても,打音検査等でうき・剥離を把握し予防措置を実施する。」

「むしろこのような個所を主な対象と想定している」は、作業量の見積りを変える一文です。目視で拾った損傷箇所の周りを叩く作業ではなく、コンクリート部材の全面を叩く作業として計画することになります。打音の手順・ハンマーの重量・間隔は道路橋と共通で、点検中の叩き落とし作業とは?ハンマーの重さと打音の間隔に整理しています。

打音以外の方法も認められています。4.2(2)は「(1)によらない場合,(1)によったときと同等の点検,措置ができる適切な方法により,点検,応急措置を行う。」で、解説は「打音検査以外の方法を用いる場合にも,打音検査により見つけられる程度のうき,剥離について落下の予防がなされるように,適切な方法の選定,現地における必要なキャリブレーションや適用条件の検証の実施,採用する方法の実施に求められる知識・技術によるものの従事など,適切な点検と措置がされるように計画,実施する必要がある。」としています。赤外線法を使う場合の位置づけは赤外線法によるうき・剥離調査とは?打音検査との関係、近接目視との関係は近接目視とは?定義と「同等の評価が行える他の方法」の要件を参照してください。

あわせて解説は「遠望目視により把握した損傷及び非破壊検査により推定したうき・剥離箇所に対する打音検査は,その周囲を含めて広めに行うのがよい」としています。損傷の境界が見えている範囲で止まるとは限らないためです。うき自体の評価区分はうきとは?評価はaとeだけ・剥離との違いにまとめています。

叩き落としてはいけない場合がある

4.2の解説には、作業を止める条件が1文で入っています。

「なお,うき・剥離の範囲が広い場合やPC桁等叩き落とすことによって当該箇所付近の応力状態が変化する場合等,叩き落とすことによって構造安全性が損なわれるおそれがあるときは,別途の方法を検討しなければならない。」

語尾が「しなければならない」です。現場で判断して落とす余地は残されていません。範囲が広いか、PC桁等で応力状態が変わるか、この2つが例示です。

落とした後の処理も指定があります。「叩き落とし作業などの応急措置によりコンクリートが落下した場合には,第2章の点検・診断に活用できるように,落下個所の状態について記録する。その後,本格的な補修までの処置として鉄筋の防錆処置を行う。防錆処置としては,錆を落とした後,塗装を施すのが一般的である。」

作業時の配慮も列挙されています。「作業区域を明確にして第三者に危険の及ぶことのないよう注意する」「必要に応じて毛布等によりコンクリート片の飛散防止及び騒音対策を講じる」「特に点検者は落下物に十分注意を払い,自身の安全を確保しなければならない」。交通規制の扱いは橋梁点検の交通規制は誰が決めるのか。要領に無く積算にあるに整理しています。

有害物質の疑いはE・S判定の検討に戻る

第3章5.(2)は、報告すべきものを具体に挙げています。

「腐食箇所において有害物質の含有が疑われる場合など,容易に危害の除去を行うことができないようなものが見つかったときには,速やかに道路管理者に報告する。」

解説が続きます。「早急な対応が必要な可能性があることから,道路管理者に報告する。また,道路管理者は,対応と並行し,必要に応じて本要領第1章5.2及び5.4に規定する「E」又は「S」判定とすることを検討する必要がある。」

ここが第3章と第1章のつながりです。応急措置の現場で見つかったものが、施設単位の緊急対応(E)や詳細調査・追跡調査(S1・S2)の検討に戻ります。「応急措置で済ませた」で閉じる話ではありません。

なお、落下物による被害のおそれは第2章のA〜C評価には入りません。第2章5.2.1の解説は「主として横断歩道橋本体の状態に着目して行われるものであり,横断歩道橋本体等から腐食片やコンクリート片の落下,付属物等の脱落などが生じることで横断歩道橋利用者及び第三者被害が生じる恐れがあるような場合には,速やかに応急措置等が行われることが一般的であることから,ABCの評価には考慮されない。」としています。ただし同じ解説は「ただし,そのような原因によって深刻な横断歩道橋利用者及び第三者被害を生じさせる可能性があるにもかかわらず,それらに措置が行われていない状態となると見込まれる場合には,致命的な状態と評価することが適当と判断されることも否定されるものではない。」と例外を置いています。措置が行われないままなら、C(致命的な状態となる可能性がある)に落ちる余地があるという書き方です。

位置図には「やらなかった範囲」も描く

記録は3つの様式で残します。「横断歩道橋利用者及び第三者被害の予防措置の実施記録様式(その1)〜(その3)」で、(その2)が予防措置位置図です。付録-1の記入要領は、径間ごとに4種類の情報を描くよう指定しています。

描くもの原文の指定
(1) 予防措置の対象範囲「対象範囲については,第3章2.「措置の対象」による。」
(2) 点検が実施できなかった範囲「第3章4.1(1)の点検(打音触診による検査又は非破壊検査法を用いたうき・剥離箇所の推定)が実施できなかった範囲(未実施の範囲)を図示する。」
(3) 非破壊検査法で「異常なし」と判定した範囲「推定の結果によりその後の詳細な打音触診による検査を省略した範囲(非破壊検査法を用いて「異常なし」と判定した範囲)を図示する。」
(4) 応急措置を実施した箇所「第3章4.2及び5.(1)の応急措置を実施した箇所を図示する。」位置を○印及び旗揚げで示し、凡例と写真番号を付記する

(1)〜(3)には凡例が決められています。(2)と(3)が独立した凡例を持っていることがこの様式の要点です。「叩いていない範囲」が2種類に分かれます——物理的に点検できなかった範囲と、非破壊検査で異常なしと判断して打音を省略した範囲です。

この2つを混ぜると、次回の点検者が「なぜここは叩かれていないのか」を判断できません。近接できなかった理由の記録はロープ高所作業で行う橋梁点検:規制と適用範囲や引き継ぎの様式(引き継ぎ事項の様式:次の点検者に何を残すか)とあわせて考えると整理しやすくなります。

(その1)の記入要領では「メモ」欄について「撮影対象箇所(桁下条件 対象範囲等),写真内容の補足説明。横断歩道橋利用者及び第三者被害の予防措置の実施にあたり影響する桁下条件や対象範囲など情報や予防措置実施にあたっての留意事項などを記載しておくとよい。」とされています。写真番号は(その3)の写真番号と整合を図ります。

落ちなかった異音も記録に残す

(4)の記入要領に、見落としやすい指定があります。

「コンクリート片の叩き落とし作業や鋼部材の錆片のうきに対する腐食片の削ぎ落とし作業などの応急措置を実施した結果,落下しなかったものの異音などの疑義がある箇所についても箇所の記録を残すものとする。」

凡例は3つです。

凡例意味
●叩き落とし等の応急措置を実施した結果、落下した箇所
●▲落下した箇所に対して防錆処置等の現場処置を施した箇所
■叩き落とし等の措置を実施した結果、落下しなかったものの異音などの疑義

■は「作業したが落ちなかった」箇所です。第3章1.の解説が言う「ハンマーによる打撃では容易には除去できないもの」に当たる可能性があり、報告と別途の対応につながる印になります。記録に残らないと、次回の点検者には健全な箇所と区別がつきません。

損傷の種類ごとの記録は第4章の仕事で、標準は26種類です(橋梁の損傷26種類一覧:鋼部材・コンクリート部材・共通)。第3章の記録は損傷の評価ではなく措置の履歴なので、第4章の損傷図とは別物として残します。第3章6.「措置の記録」は「本章に基づき行われる横断歩道橋の利用者及び第三者被害の予防措置の記録は,第1章「共通」での次回定期点検までの措置の必要性の検討や,維持・補修等の計画を立案するうえで参考とすることも想定されるため,適切な方法で記録し,蓄積しておかなければならない。」としています。

出典:国土交通省 道路局 国道・技術課「歩道橋定期点検要領」(令和6年9月)第3章および付録-1。適用は国土交通省および内閣府沖縄総合事務局が管理する横断歩道橋です。最新の要領・様式は必ず原典をご確認ください。

よくある質問

Q. 横断歩道橋の「第三者」には誰が含まれるのですか。
A. 渡っている人も含まれます。直轄の歩道橋定期点検要領(令和6年9月)第3章1.総則(1)は「横断歩道橋本体等からのコンクリート片又は腐食片,ボルト類,その他目地材などの一部が落下し,横断歩道橋の利用者又は横断歩道橋が横架する道路等の利用者(以下,第三者という)に対して被害が生じることを極力予防するための措置(以下,第三者被害等の予防措置という)を講ずる。」としています。道路橋で「第三者」といえば橋の下を通る人や車ですが、横断歩道橋では橋上の利用者が定義に入っています。

Q. 措置の対象はコンクリート片の落下だけですか。
A. いいえ。第3章2.(1)は「措置の対象部位は,コンクリート部材,鋼部材などの部材断面の一部やボルト類や目地などが落下することによって横断歩道橋の利用者や第三者に対して被害を及ぼす可能性がある全ての部位・部材を対象に行う。」としています。第3章の構成も「コンクリート部材を対象としたコンクリート片の落下に対する予防」と「その他,横断歩道橋の鋼材の腐食片などの落下に対する予防」の2本立てです。

Q. 措置の対象範囲はこの要領のどこに書かれていますか。
A. この要領の中には範囲の規定がありません。第3章2.の解説は「なお,措置対象範囲の設定は「橋梁定期点検要領 付録-2第三者被害を予防するための橋梁点検の対象範囲」(令和6年7月国土交通省道路局国道・技術課)による。」としています。範囲を確認するには橋梁側の要領の付録を開く必要があります。

Q. この章では詳細調査や補修方法まで決めるのですか。
A. 決めません。第3章1.の解説は「本章は,定期点検時に行うことができる横断歩道橋の利用者及び第三者被害の予防を目的とし,① 第三者被害の可能性のある損傷の点検 ② 発見された損傷に対する応急措置(叩き落とし作業など)を規定するにとどめている。その程度や発生原因を把握するための詳細調査,補修方法については別途の検討が必要である。」としています。あわせて「ハンマーによる打撃では容易には除去できないものに対しても,別途の対応が必要であり,そのようなものが疑われる異常を見つけた場合には,道路管理者に報告する必要がある。」と書かれています。

Q. 損傷が見えている箇所だけを打音すればよいのですか。
A. 逆です。第3章4.1の解説は「ただし,一見したところ健全と思える箇所についても,うき・剥離の可能性は否定できない(本章では,むしろこのような個所を主な対象と想定している。)ので,目視により確認できる損傷箇所以外についても,打音検査等でうき・剥離を把握し予防措置を実施する。」としています。さらに4.1(2)は「(1)の点検や予防措置は,コンクリート部材の全ての範囲で実施する。」と範囲を全面に広げています。

Q. 叩き落としてはいけない場合がありますか。
A. あります。第3章4.2の解説は「なお,うき・剥離の範囲が広い場合やPC桁等叩き落とすことによって当該箇所付近の応力状態が変化する場合等,叩き落とすことによって構造安全性が損なわれるおそれがあるときは,別途の方法を検討しなければならない。」としています。「しなければならない」で書かれており、現場判断で叩き落とす余地は残されていません。

Q. 腐食箇所に有害物質が疑われるときはどうするのですか。
A. 報告します。第3章5.(2)は「腐食箇所において有害物質の含有が疑われる場合など,容易に危害の除去を行うことができないようなものが見つかったときには,速やかに道路管理者に報告する。」としています。解説では「早急な対応が必要な可能性があることから,道路管理者に報告する。また,道路管理者は,対応と並行し,必要に応じて本要領第1章5.2及び5.4に規定する「E」又は「S」判定とすることを検討する必要がある。」と続きます。応急措置の話が、施設単位の判定に戻る経路です。

Q. 予防措置の記録には何を描くのですか。
A. 位置図(実施記録様式(その2)予防措置位置図)に、径間ごとに4種類の情報を描きます。①予防措置の対象範囲 ②点検が実施できなかった範囲 ③非破壊検査法を用いて「異常なし」と判定した範囲 ④応急措置を実施した箇所です。①〜③には凡例が決められており、「やった範囲」だけでなく「やらなかった範囲」を図に残す構成になっています。

Q. 叩いても落ちなかった箇所は記録しなくてよいのですか。
A. 記録します。様式(その2)(4)の記入要領は「コンクリート片の叩き落とし作業や鋼部材の錆片のうきに対する腐食片の削ぎ落とし作業などの応急措置を実施した結果,落下しなかったものの異音などの疑義がある箇所についても箇所の記録を残すものとする。」としています。凡例は落下した箇所が【●】、落下後に防錆処置等を施した箇所が【●▲】、落下しなかったが異音などの疑義がある箇所が【■】です。

Q. 第三者被害の予防は、点検とは別の体制で行うのですか。
A. どちらでもよいとされています。第3章3.の解説は「実施にあたっては,本章の第三者被害等の予防措置だけを独立して単体で実施する体制とすることもあれば,本要領第2章又は第4章における点検等と同じタイミング,体制とすることなども考えられ,道路管理者が適切に実施体制を選定すればよい。」としています。そのうえで「資機材の共有や規制等の調整,適切な方法の選定,組合せについて,検討・計画・調整される必要がある」と、まとめて計画する利点に触れています。

出典・適用範囲

本文の版・記述・引用を確認するための一次資料です。PDFを当夜取得し、該当箇所を原文で照合しました。引用の読点・句点・全角半角は原典の表記に合わせています。

本記事が読んでいるのは直轄の「歩道橋定期点検要領」(令和6年9月)で、適用は国土交通省及び内閣府沖縄総合事務局が管理する横断歩道橋です(第1章1.(1))。地方公共団体が管理する横断歩道橋に自動的に適用されるものではなく、そちらは「横断歩道橋定期点検要領(技術的助言の解説・運用標準)」(令和6年3月)の系統です。本記事は第3章と、その記録様式の記入要領のみを扱っており、第1章の健全性の診断の区分の決定手順、第2章の状態の把握と性能の推定の各節、第4章の損傷程度の評価要領、付録-2 損傷程度の評価要領、参考資料1 一般的な構造と主な着目箇所、参考資料2 横断歩道橋の損傷事例の個別の内容は扱っていません(いずれも原典でご確認ください)。個別の箇所を叩き落とすかどうかの判断、構造安全性が損なわれるおそれの有無の判定は行っていません。自組織が採用している要領と発注図書を優先してください(国交省要領と都道府県の点検マニュアルの関係:どちらに従う?)。