この記事の要点
  • 歩道橋定期点検要領(令和6年9月)には、令和6年9月13日通知の版と令和7年3月14日通知の版がある。表紙の年月は両方とも「令和6年9月」で区別できない
  • 最も大きい変更は6.1解説の所見。4つの観点すべてが「技術的見解を含めるものとする。技術的見解には、工学的な理由を添える。」という言い回しに統一された
  • 付表-1.1の部材種別コードで、PC定着部がSPpa から SPcn へ変わった。旧版ではアーチの橋門構と同じ記号だった
  • 一方で付録-1の「歩道橋診断員所見」の記入要領は旧い言い回し(容易に理解できるように記述する)のまま残っており、本体6.1と表現が揃っていない

横断歩道橋の定期点検を発注側で見ている方から、「手元の歩道橋定期点検要領と、受注者が持っているものの中身が違う」という相談を受けることがあります。表紙はどちらも令和6年9月で、ファイル名も同じです。違っているのは中身のほうで、原因は令和7年3月14日の通知による差換えです。

国土交通省の予防保全のページには、歩道橋定期点検要領(令和6年9月)の下に「(R7.3.14 更新 新旧表)」という別のPDFがぶら下がっています。本文は4ページで、変わったのは3か所。うち1か所は所見の書き方そのものを作り直す内容で、もう1か所は点検調書に入れる部材種別コードの重複を直した誤記修正です。どちらも、気づかずに旧版の様式で納品すると後から手戻りになります。

この記事では、新旧表の3か所を原文で並べ、現在配布されている本体PDFに反映済みであることを確認したうえで、発注・受注のそれぞれで何を確認すべきかを整理します。扱うのは直轄版の「歩道橋定期点検要領」(令和6年9月)で、技術的助言である「横断歩道橋定期点検要領」(令和6年3月)とは別の文書です。

同じ「令和6年9月」に2つの版がある

国土交通省のサイトに掲載されている歩道橋定期点検要領の本体PDFは、表紙に「令和6年9月」と刷られています。新旧表のほうは、左右の欄の見出しがどちらも「歩道橋定期点検要領(令和 6 年 9 月)」で、その下に通知日だけが書き分けられています。左が【令和 6 年 9 月 13 日通知】、右が【令和 7 年 3 月 14 日通知】です。

つまり、この要領は表紙の年月では版を特定できません。手元のPDFがどちらかを確かめるには、本文の該当箇所を見るか、ファイルのプロパティで作成日時を見ることになります。点検要領の版が表紙の年月だけでは決まらないという話は、点検要領の版は表紙の年月では決まらない|通知日・差替日と新旧表の読み方でも扱っています。歩道橋のこの件は、その典型例です。

新旧表の修正箇所欄に並んでいるのは、次の4行です(「章など」「ページ」「行など」の3列で位置が示されています)。

章などページ行など備考欄の参照先内容
2章2911〜134.1(5)解説「その他のその他」の定義を追記
2章4514〜356.1 解説所見に含める観点の記述を全面的に書き換え
定期点検記録様式8—点検記録様式(その5)様式の図を差換え
付録-130—付表-1.1部材種別の記号を修正

なお「行など」の欄が空のものは、変更が図や表そのもので、行単位で指せないためです。新旧表の3ページ目(点検記録様式(その5))は、左の欄が空で右の欄に様式の図だけが載っており、本文テキストとしては何も書かれていません。

変更1:所見の4項目に「工学的な理由を添える」が入った

4か所のうち分量が最も多いのが、第2章「6.1 措置の必要性等の検討」の解説にある所見の記述です。現在配布されている本体PDF(令和7年3月14日通知の版)では、次のように書かれています。

まず導入部です。

以上の検討の結果は,所見としてまとめる。このとき,所見には以下の観点を含むものとする。この他の所見の記述の留意点は,付録-1による。

この1文は旧版と同じです。変わったのは、続く4つの「〇」の中身です。

1つめ:全体に対する技術的見解の総括

〇横断歩道橋全体に対する技術的見解の総括を記述する。そこには,耐荷性能や耐久性能の観点からの上部構造,下部構造,上下部接続部,階段部及びその他の接続部の状態についての技術的見解を含めるものとする。技術的見解には,工学的な理由を添える。

2つめ:健全性の診断の区分の決定に影響する対策の必要性

〇横断歩道橋の「健全性の診断の区分」の決定に影響する,上部構造,下部構造,上下部接続部,階段部及びその他の接続部それぞれの補修や補強等の対策の必要性,耐荷性能又は耐久性能の観点からの対策の目的及び対策までの間の監視の必要性についての技術的見解を含めるものとする。技術的見解には,工学的な理由を添える。

3つめ:ライフサイクルコストの視点

〇施設のライフサイクルコストの視点から望ましい措置についての技術的な見解も含める。多くの横断歩道橋では,様々な種類の変状が様々な箇所に発生し得る。それらの変状には,ただちに横断歩道橋の耐久性能や部材等の耐久性能には影響を及ぼさないと考えられるものもあったり,目地部からの漏水や排水からの飛散水など5.4の特定事象に該当しないものであったりするものも多い。しかし,それらの変状を総合的に見て,ライフサイクルコストに及ぼす影響の観点や新たな異常を引き起こす可能性などの観点から次回定期点検までの維持修繕の実施を考えることは横断歩道橋の長寿命化を考える上で重要である。

4つめ:第三者被害の可能性

○部材片,コンクリート片,腐食片,部品の落下などによる横断歩道橋利用者や第三者への被害発生の可能性に関する施設の状態及び次回定期点検までの対策の必要性についての技術的見解を含めるものとする。技術的見解には,工学的な理由を添える。

4つのうち3つで、末尾が「技術的見解を含めるものとする。技術的見解には,工学的な理由を添える。」に揃えられています。3つめだけはライフサイクルコストの説明が続くため文の形が違いますが、冒頭は「技術的な見解も含める」です。

横断歩道橋では、渡っている人そのものが第三者被害の対象になります。4つめの「部材片,コンクリート片,腐食片,部品の落下」という列挙が道路橋より広いのはそのためで、この背景は横断歩道橋では渡っている人も「第三者」|落下予防の対象が道路橋と違うで整理しています。

旧版との違いは「分かりやすく書け」から「何を含めろ」へ

新旧表の左欄(令和6年9月13日通知)を見ると、同じ4項目が次のように書かれていました。1つめを原文で引きます。

〇横断歩道橋全体に対する技術的見解の総括,及び,上部構造,下部構造,上下部接続部,階段部及びその他の接続部などに対して,施設の状態及び次回点検までに必要な補修や補強等の対策の必要性やその理由が容易に理解できるように記述する。

2つめも同じ型です。

〇所見には「健全性の診断の区分」の決定に影響する耐荷性能の回復や変位の監視,あるいは防食機能の低下の抑制など,耐荷性能や耐久性能の観点からの技術的見解やその理由が容易に理解できるように記述する。

旧版は「容易に理解できるように記述する」で終わっています。読み手に伝わる書き方をしなさい、という書き方の品質についての要求です。新版はここを「技術的見解を含めるものとする」+「工学的な理由を添える」に置き換えました。書き方の要求から、記載事項の要求に変わったことになります。

観点令和6年9月13日通知令和7年3月14日通知
文末の要求「〜が容易に理解できるように記述する」「〜についての技術的見解を含めるものとする。技術的見解には,工学的な理由を添える。」
総括の対象総括と各部への対策の必要性をひとまとめに記述総括を記述し、そこに耐荷性能・耐久性能の観点からの各部の状態についての技術的見解を含める
対策の必要性耐荷性能の回復・変位の監視・防食機能の低下の抑制などを例示各部それぞれの対策の必要性、対策の目的、対策までの間の監視の必要性の3点を名指し
第三者被害「部材片や部品の落下など」「部材片,コンクリート片,腐食片,部品の落下など」

実務への影響は、所見の検収で見るところが変わることです。旧版の文面だと「読んで分かるか」が判断の軸になりますが、新版では工学的な理由が添えてあるかという、有無で確認できる項目になります。「腐食が進行しているため補修が必要」で止まっている所見は、新版の文面では不足していることになります。

そもそも誰が所見を書くのかという役割分担については、横断歩道橋の「状態の記録」は主観を入れない|歩道橋検査員の仕事で、状態の記録を行う歩道橋検査員と、性能の評価と措置の検討を行う歩道橋診断員の線引きを扱っています。所見を書くのは診断員の側です。橋梁側で同じ役割を担う橋梁診断員については、橋梁診断員とは?資格制度が無い役割の線引きを参照してください。

変更2:表-4.1.1 の「その他のその他」に定義が付いた

2章29ページ11〜13行の追記は、第2章「4.1 状態の把握の方法」(5)の解説に入りました。現在の本体PDFでは、次のとおりです(下線部が追記された部分にあたります)。

想定される変状の要因の推定や具体の措置を行うための調査,検討においても変状や異常の種類は重要な情報であり,記録の観点から,同じ変状や異常については同一の用語を用いて記録されるのがよいことから,状態の把握や記録にて考慮する一般的な変状や異常を示した。表-4.1.1最下段のその他のその他については,横断歩道橋の安定等に影響を与える周辺地盤,附属物など,横断歩道橋の性能や機能,並びに,その不全が横断歩道橋の利用者や第三者の安全に関連するものを全て含む概念である。

表-4.1.1 は「対象とする損傷の種類の標準」で、部位・部材の区分と損傷の種類(26種類が標準)を対応させた表です。その部位・部材の区分の列は、落橋防止システム・排水受け・排水管・排水樋・高欄・照明施設・落下物防止柵・道路標識・手すり・目隠し板・裾隠し板・舗装と続き、区分「その他」の中の最下段にもう一度「その他」が置かれています。これが「その他のその他」です。

追記前は、この行が何を指すのかが要領の中に書かれていませんでした。追記によって、周辺地盤のように横断歩道橋そのものの部材ではないものも、安定等に影響を与えるなら記録の対象に入ることが明示されました。「横断歩道橋の性能や機能」と「その不全が利用者や第三者の安全に関連するもの」の両方を含む、という書き方になっている点が実務上のポイントです。

同じ解説の続きには、附属物の扱いも書かれています。

ここで,横断歩道橋に附属している標識,照明施設等附属物の定期点検は,附属物(標識,照明施設等)の定期点検に適用する点検要領により行うが,これとは別に,標識,照明施設等の支柱や横断歩道橋への取付部等については,横断歩道橋の定期点検時にも状態を把握することを基本とする。

標識や照明施設の本体は附属物の要領で点検しますが、支柱と横断歩道橋への取付部は横断歩道橋側でも見るという二重の建て付けです。追記された「その他のその他」の定義で「附属物など」が名指しされているのは、この建て付けと整合しています。

損傷の種類の番号そのものの扱いについては、損傷パターン番号とは?調書に記録する番号の意味も参考になります。

変更3:PC定着部のコードが SPpa から SPcn へ

新旧表の4ページ目は、付録-1の30ページにある付表-1.1「各部材の名称と記号」の差換えです。左右の表を1行ずつ突き合わせると、違うのは1か所だけです。

工種部材種別令和6年9月13日通知令和7年3月14日通知
主桁・床版等(SP)アーチ/橋門構SPpaSPpa(変更なし)
主桁・床版等(SP)PC定着部SPpaSPcn

旧版では、アーチの橋門構と PC定着部の両方が SPpa でした。1つの記号が2つの部材を指していたことになります。現在の本体PDFの付表-1.1 を確認すると、アーチの行は「橋門構 SPpa」、その下の独立した行が「PC定着部 SPcn」で、重複は解消されています。

記号が重複していると困るのは、点検結果をデータとして集計する場面です。部材種別は様式に書く文字列であると同時に、点検データベースへ登録する際のキーになります。同じ SPpa で登録された行が、アーチの橋門構なのか PC定着部なのかを後から区別できません。コードの桁の意味と選び方については構造形式コードの選び方|付表1.1の4区分と「不明」「その他」の扱い、要素番号側の採番則は要素番号の付け方:起点側から振る4桁の意味で扱っています。

旧版の様式で作成した点検調書を手元に持っている場合、PC定着部の行の記号が SPpa のままになっている可能性があります。新版へ差し替える前に、SPpa で記録された行がアーチの橋門構か PC定着部かを確認してから置き換えてください。記号だけを機械的に置換すると、橋門構まで SPcn になります。

なお、旧様式のまま登録しようとしたときに起きることは道路橋側でも整理されています。道路橋記録様式(令和6年3月)とは?旧様式で登録できない注意点が参考になります。

点検記録様式(その5)も差し換わっている

新旧表の3ページ目は、定期点検記録様式の8ページ目、点検記録様式(その5)です。この行は、左の欄(令和6年9月13日通知)が空で、右の欄(令和7年3月14日通知)に様式の図が載っている形になっています。備考欄には「点検記録様式(その5)」とだけ書かれています。

新旧表のこのページは図だけで構成されており、テキストとしては差分が書かれていません。何がどう変わったかを文章で確認する手がかりは、新旧表の側にはありません。手元の様式と現在配布されている本体PDFの該当ページを目で突き合わせる必要があります。

直轄版の歩道橋定期点検要領では、点検記録様式(その5)は力学的な機能を担う部材群(システム)の区分を記載する様式にあたります。横断歩道橋の階段部が、道路橋には無い独自のシステム区分を持つことは横断歩道橋の階段部は7つのシステムで見る|直轄版の部材群の立て方で扱いました。部材群の区分を書く様式が差し換わっているということは、この記事で扱った所見の変更と同じ方向(部材群ごとの技術的見解を明確にする)の修正である可能性がありますが、新旧表に文章の差分が無いため、ここでは推定にとどめます。確定させるには旧版の様式そのものとの突き合わせが要ります。

部材群ごとの評価結果を書く様式の読み方は、道路橋側になりますが様式その8-1・8-2の書き方|部材群毎の性能の評価結果が近い内容です。

付録-1 の所見の記述は旧い言い回しのまま残っている

ここが、今回の差換えで一番注意が要るところです。本体6.1の解説は「工学的な理由を添える」に書き換わりましたが、付録-1「定期点検結果の記入要領」の側は書き換わっていません。現在配布されている本体PDFの付録-1にある「歩道橋診断員所見」の記入要領を引きます。

・施設全体に対する技術的見解の総括を述べる。横断歩道橋の性能,関連する異常や変状,上部構造,下部構造,上下部接続部,階段部,その他の接続部などに対して次回点検までに必要な補修や補強等の対策の必要性やその理由が容易に理解できるように記述する。

本体6.1が差し換わる前の言い回しと同じです。6.1の解説は「この他の所見の記述の留意点は,付録-1による。」と付録を参照しているので、本体と付録で所見の書き方の要求の表現が揃っていない状態になっています。

さらに付録-1 の同じ箇所は、外部の文書も参照しています。

所見欄への記入にあたっては,以下に留意するとともに,「横断歩道橋定期点検要領(技術的助言の解説・運用標準)」様式3の記録の手引き「4.所見」を参照する。

つまり所見の書き方の根拠は、①本体6.1の解説 ②付録-1の記入要領 ③技術的助言の解説・運用標準の様式3の記録の手引き——の3か所に分かれています。差し換わったのは①だけです。

実務上は、①を満たせば②も満たす関係にあります。①は「技術的見解を含め、工学的な理由を添える」で、②は「理由が容易に理解できるように記述する」ですから、理由を工学的に書けば②の要求も満たせます。逆向きには成立しません。検収で揉めないようにするには、①の文面を仕様書側に引いておくのが確実です。

付録-1 には、所見を書くときの表現の統一についても定めがあります。

・具体的な材料や工法を特定するような記述は行わない。措置の内容については,定期的あるいは常時の監視,維持や補修・補強などの修繕,撤去,通行規制・通行止めを想定するが,具体的な措置工法や時期,範囲等まで検討した内容について所見欄に記載することは想定していない。

工学的な理由を添えることと、工法を特定しないことは両立します。「なぜその性能が不足していると判断したか」は書き、「どの工法で直すか」は書かない、という切り分けです。措置の区分そのものの考え方は対策区分(A・B・C1・C2・E1・E2・M・S1・S2)一覧と判定の考え方、維持工事での対応にあたるM判定はM判定とは?維持工事等での対応と引き継ぎの記録で整理しています。

所見が最終的に効いてくるのは、道路管理者が決める健全性の診断の区分です。要領は「歩道橋診断員が告示に定める『健全性の診断の区分』を決定するものではない」と明記しています。区分の定義そのものは健全性の診断(判定区分Ⅰ〜Ⅳ)とは?定義と判定の考え方を参照してください。

発注・受注で確認しておく3点

新旧表の中身を踏まえると、着手前に揃えておきたいのは次の3点です。

確認する項目見るところ揃っていないと起きること
使う要領の通知日令和6年9月13日通知か、令和7年3月14日通知か。表紙では区別できないので本文6.1の解説を見る所見の検収基準が受発注で食い違う
所見に工学的な理由を求めるか仕様書に本体6.1の文面(技術的見解を含める/工学的な理由を添える)を引いてあるか付録-1の旧い言い回しを根拠に、理由の薄い所見で納品される
部材種別コードの版付表-1.1 の PC定着部が SPpa か SPcn かSPpa で登録した行が橋門構と区別できなくなる

横断歩道橋の定期点検要領そのものの全体像と、令和6年改定で入ったA〜C評価については横断歩道橋定期点検要領とは?令和6年改定で加わったA〜C評価を解説にまとめてあります。道路橋側の令和6年3月改定の変更点と比べたい場合は【令和6年3月改定】道路橋定期点検要領の変更点まとめ、調書全体の構成は橋梁点検調書の構成と書き方:様式の全体像と記入の要点が対応します。

よくある質問

Q. 手元の歩道橋定期点検要領が新旧どちらの版か、どう見分けますか。
A. 表紙はどちらも「令和6年9月」なので区別できません。本文で見分けるなら、第2章6.1の解説にある所見の観点です。「技術的見解には,工学的な理由を添える。」という文があれば令和7年3月14日通知の版、「容易に理解できるように記述する」で終わっていれば令和6年9月13日通知の版です。付録-1の付表-1.1で PC定着部の記号を見る方法もあり、SPcn なら新版、SPpa なら旧版です。

Q. 新旧表には何か所の修正が載っていますか。
A. 4行です。2章29ページ11〜13行(4.1(5)解説の追記)、2章45ページ14〜35行(6.1解説の所見)、定期点検記録様式8ページ(点検記録様式(その5))、付録-1の30ページ(付表-1.1)です。このうち様式(その5)の行は左欄が空で右欄に図だけが載っており、文章としての差分は書かれていません。

Q. 「工学的な理由を添える」とは、具体的に何を書けばよいですか。
A. 要領は「工学的な理由」の例示までは書いていません。書かれているのは、4つの観点それぞれで技術的見解を含めること、その技術的見解に工学的な理由を添えることです。一方で付録-1は「具体的な材料や工法を特定するような記述は行わない」とも定めているので、工法の指定にならない範囲で、耐荷性能・耐久性能の観点から何がどう不足していると判断したのかを書くことになります。個別の案件での書きぶりは、発注図書の仕様と道路管理者の指示によります。

Q. 所見は誰が書きますか。
A. 歩道橋診断員です。付録-1は「道路管理者の意思決定である『健全性の診断の区分』の決定に大きく関わる技術的見解について,措置に対する考え方との関連性がわかるように,歩道橋診断員が検討を行った措置に関する総合的な所見が必ず記載されなければならない。」としています。ただし要領は、歩道橋診断員が健全性の診断の区分そのものを決定するものではない、とも明記しています。

Q. 「その他のその他」には周辺地盤も含まれるのですか。
A. 追記された定義では「横断歩道橋の安定等に影響を与える周辺地盤,附属物など,横断歩道橋の性能や機能,並びに,その不全が横断歩道橋の利用者や第三者の安全に関連するものを全て含む概念である。」とされており、周辺地盤が名指しされています。ただし「安定等に影響を与える」という限定が付いているので、横断歩道橋と無関係な地盤まで対象になるという読み方はできません。

Q. 標識や照明施設は横断歩道橋の点検で見るのですか。
A. 本体の点検は附属物(標識、照明施設等)の点検要領で行います。ただし同じ解説に「標識,照明施設等の支柱や横断歩道橋への取付部等については,横断歩道橋の定期点検時にも状態を把握することを基本とする。」とあり、支柱と取付部は横断歩道橋側でも状態を把握します。

Q. 旧版で納品済みの調書は作り直しが必要ですか。
A. 要領にも新旧表にも、過去の納品物の遡及的な修正を求める記述はありません。新旧表は要領の差換えを示すもので、既往の点検結果の扱いには触れていません。実際の取り扱いは道路管理者の判断になります。ただしデータベースへの登録を伴う場合、PC定着部が SPpa で登録されていると橋門構と区別できないため、データ側の整理が必要になることはあります。

Q. 技術的助言の「横断歩道橋定期点検要領」(令和6年3月)とは別物ですか。
A. 別の文書です。この記事で扱った歩道橋定期点検要領(令和6年9月)は国土交通省道路局が直轄の点検に適用する要領で、技術的助言である横断歩道橋定期点検要領(令和6年3月)および、その解説・運用標準とは掲載も版も分かれています。付録-1は所見について解説・運用標準の様式3の記録の手引きを参照するよう求めており、両者は参照関係にあります。

出典・適用範囲

本文の条文・表・注記を確認するための一次資料です。PDFを当夜取得し、該当箇所を原文で照合しました。引用の読点・句点・全角半角は原典の表記に合わせています(本要領は読点に「,」を用いています)。原典の表のセル結合やレイアウト、様式の図は再現していません。

本記事は、歩道橋定期点検要領(令和6年9月)の令和7年3月14日通知による差換え内容を原文で確認するための実務解説です。対象は国土交通省道路局が直轄の横断歩道橋の定期点検に適用する直轄版の要領で、技術的助言である「横断歩道橋定期点検要領」(令和6年3月)および「横断歩道橋定期点検要領(技術的助言の解説・運用標準)」(令和6年3月)の本文は本記事では扱っていません。点検記録様式(その5)の変更内容は、新旧表に文章の差分が無いため本記事では特定していません(本文では「同じ方向の修正である可能性」と推定の形で述べるにとどめています)。付録-1の図、各様式の罫線やレイアウト、表-4.1.1 の全26種類の損傷の種類の一覧は再現していません。個別の横断歩道橋に対する健全性の診断の区分や対策の要否の判定も行いません。要領の版、発注図書の仕様、道路管理者の指示を優先してください。