この記事の要点
  • 参考資料は法令・技術的助言・技術標準とは別の列にあり、位置づけは「技術的助言運用の支援」。義務ではなく、技術的評価を自分で書くための材料
  • 挙げられているのは国総研資料第381号・第748号・第829号・第1232号と、日本道路協会発行の道路橋点検必携の5点(区分は4つ)
  • 研修テキスト(第829号・第1232号)は「個人の自学自習以外」の利用に国総研の許諾が必要。PDFが無償であることと社内研修で配れることは別
  • 国交省自身が「用語等の使い方が古いままである事に注意が必要」と注記している。第1232号は目次に平成31年2月版の要領を収録している
  • 損傷事例写真集(第748号)は、原典が「定型的な判定基準は用意されていない」と明言している。写真は評価の客観性を上げるためのもので、判定の答えではない

定期点検の技術的な評価を書く段になると、「どの資料を根拠にすればよいのか」で止まります。要領には評価の区分と記録欄はありますが、個々の損傷をどう読むかは要領の外にあります。

その外側に何が置かれているかは、国土交通省道路局 国道・技術課の説明資料にはっきり図示されています。令和6年改定の全国説明会で使われた「定期点検(法定点検)について(橋梁、トンネル、シェッド・大型カルバート)」(2024年5月20日・42ページ)の4ページです。この記事では、そこに挙げられた参考資料4点を原文で確認し、社内で使う前に押さえる点を整理します。結論を先に書くと、研修テキストは無償で公開されていますが、自学自習以外の利用には国総研の許諾が必要です。

参考資料は要領の「外側」に置かれている

説明資料の3ページは、定期点検の枠組みを縦の列で描いています。左から、道路法(昭和27年6月10日法律第180号)第四十二条・道路法施行令(昭和27年12月4日政令第479号)第三十五条の二の二項・道路法施行規則(昭和27年8月1日建設省令第25号)第四条の五の六と告示を置く法令の列、次に技術的助言(定期点検要領)、その解説・運用標準、運用の手引き、そして技術標準と定期点検 参考資料の列です。参考資料の列には「技術的助言運用の支援」という見出しが付いています。

省令・告示・技術的助言という3層の関係は定期点検要領の法的位置づけ:省令・告示・技術的助言の関係に整理しています。参考資料は、その3層のさらに外側にある4つ目の層です。従わなければ違法になるものではなく、使わなくても法令違反ではありません。そのかわり、技術的評価の根拠を自分で書けなければ、記録は埋まりません。

同じページの下部には「なお、法令等の趣旨を踏まえた、維持管理業務の品質確保と継続的改善の仕組みも重要」という1行が添えられています。参考資料は、この「仕組み」側の道具として置かれています。

なぜ令和6年改定でここが強調されたのかは、2ページの経緯に書かれています。令和5年の3巡目に向けた総括で、法令と技術的助言の内容は概ね妥当とされた一方、「▲外観のみからの機械的な評価(措置方針を決定)が散見 →点検品質のばらつき」が課題として挙げられました。5ページの運用体系図では、技術的評価の箱に「(知識と技能の裏付けが不十分な評価の抑制・抑止)」と注記されています。改定の全体像は【令和6年3月改定】道路橋定期点検要領の変更点まとめにまとめています。

4つの区分と、挙げられている資料名

4ページの「定期点検 参考資料」の欄は、「例えば、」として4区分を並べています。原文の並びのまま書き出すと次のとおりです。

区分(原文)挙げられている資料答える問い
1)損傷程度の記録例 → 基礎データ収集要領国総研資料第381号 道路橋の健全度に関する基礎的調査に関する研究 -道路橋に関する基礎データ収集要領(案)-この損傷をどの区分で記録するか
2)耐荷性能評価の例(この欄に個別の資料名の記載はありません)耐荷性能をどう見立てるか
3)考慮されるべき既往の劣化や損傷の事例 → 損傷事例集国総研資料第748号 道路橋の定期点検に関する参考資料(2013年版)―橋梁損傷事例写真集―この見え方は過去にどう扱われたか
4)必要とされる最低限の知識と技能の目安 → 研修テキスト → 点検必携国総研資料第829号 道路構造物管理実務者研修(橋梁初級Ⅰ)道路橋の定期点検に関するテキスト/同 第1232号(その2)/【日本道路協会発行】道路橋点検必携 橋梁点検に関する参考資料点検に従事する者は何をどこまで知っておくべきか

欄の末尾には「その他参考になる知見」として国総研の別ページも挙げられています。区分は4つですが、資料名は5点で、うち4点が国総研資料、1点が市販の書籍です。

点検必携だけリンク先が出版社の商品ページになっています。国総研資料はPDFで無償公開されているのに対し、点検必携は発行元が日本道路協会である市販の冊子で、入手経路が違います。社内の参照先として指定するなら、冊子を確保しておく必要があります。

国交省自身が付けている2つの注記

この欄で見落としやすいのは、資料名の上に小さく付いている2行の注記です。

1つ目は「※ 改定にあわせた見直し作業中。近日更新予定。」です。令和6年改定に合わせた参考資料の更新が、この資料の時点(2024年5月20日)では終わっていないと書かれています。

2つ目は「※ 用語等の使い方が古いままである事に注意が必要であるが、技術的な評価に関する参考という点では引き続き活用可能。」です。古いことを認めたうえで、技術的評価の参考としては使えると整理しています。

この2行を読んだかどうかで、資料の使い方が変わります。用語をそのまま社内文書に写すと、現行の要領と食い違います。たとえば令和6年改定では、部材単位の判定が「健全性の診断の区分」から技術的な評価(A〜C)に変わりました(部材単位の健全性の判定はもう行わない:令和6年改定の整理)。旧資料は改定前の用語で書かれているので、損傷の見え方の参考として読み、用語と区分は現行の要領と基礎データ収集要領で確認する、という使い分けになります。

研修テキストは許諾なしに社内研修で使えない

研修テキスト2点には、無償公開のPDFとしては珍しい制限が書かれています。第829号の概要欄の末尾です。

「そのため個人の自学自習以外、たとえば研修などにおいて、事前に国土交通省国土技術政策研究所の許諾を得ないままの本書の一部または全部の利用は禁止します。」

第1232号にも同じ趣旨の文が置かれています(表記は「国土交通省国土技術政策総合研究所」)。読む分には自由ですが、研修で使うなら事前の許諾が要るという書き分けです。

実務では、担い手不足のなかで若手の育成を社内で回す必要があり(点検の担い手不足:外注と内製のどちらを厚くするか)、公開されているテキストをそのまま教材にしたくなります。ここが引っかかります。社内勉強会の資料に章や図を貼る、研修テキストのPDFを配布する、といった使い方は、この1文の「研修などにおいて」に当たると読むのが素直です。

そもそも国交省側は、令和6年改定後の研修を自ら回しています。説明資料の13ページには「令和6年度~ 改定。 本省、国総研、地方整備局等にて、説明会、研修を順次実施(道路管理者、民間企業向け)」とあります。民間企業向けも明記されているので、教材を自前で作るより、実施される研修を使うほうが筋が通ります。省令が求める知識と技能の考え方は橋梁点検に必要な資格は?省令の「知識と技能」の読み方と近接目視とは?要領が求めている距離と範囲も参考になります。

第829号と第1232号で引用している条番号が違う

2つのテキストを並べると、冒頭で引く条番号が違います。

資料引用している条文(原文)
国総研資料第829号「道路法施行令(政令)第35 条に定められた道路橋の定期点検では、道路法施行規則(国土交通省令)第4 条の5 の2 の規定に従って」
国総研資料第1232号「道路法施行令(政令)第35条の2に定められた道路橋の定期点検は、道路法施行規則(国土交通省令)第4条の5の6の規定に従って」

説明資料の3ページが現行として挙げているのは、施行令第三十五条の二の二項と施行規則第四条の五の六です。つまり第1232号の側が現行の条番号に沿っています。

古い版の記述を引いて社内規程や仕様書を作ると、条番号がずれます。条番号は照会や監査でそのまま突き合わされるところなので、参考資料から条文を引くときは、必ず現行の政令・省令で番号を確認してください。第829号が平成26年度の研修内容であることは概要欄に明記されています。「本資料と同じ内容が、平成26 年度に国土交通省が全国の地方整備局において、道路橋の定期点検に従事する者に最低限必要な知識と技能を修得させることを目的として実施した道路構造物管理実務者研修(橋梁初級Ⅰ)において講義されている。」

第1232号には達成度確認試験の実施要領まで入っている

第1232号は、テキストというより研修の運営パッケージです。公開ページの目次は次の構成です。

章中身
1研修実施要領
2達成度確認試験実施要領(参考)試験分析結果
3履修内容(シラバス)3.1 橋梁初級Ⅰ研修の概要/3.2 橋の構造の基本/3.3 定期点検に関する法令及び技術基準の体系/3.4 状態の把握と健全性の診断/3.5 鋼部材の損傷と健全性の診断/3.6 コンクリート部材の損傷と健全性の診断/3.7 下部構造及び溝橋の損傷と健全性の診断/3.8 支承・附属物等の損傷と健全性の診断/3.9 附属物の定期点検要領概論/3.10 土工構造物の構造の基本/3.11 シェッド、大型カルバート等の定期点検要領概論/3.12 今日的課題と最新の損傷例/3.13 現地実習
4講義資料(3章のシラバスに対応。4.1〜4.11)
5達成度確認試験〔学科〕の例題
6達成度確認試験〔実技〕のポイント
7道路橋定期点検要領(平成31年2月) ~技術的助言~

ここから分かることが3つあります。

1つ目は、到達度を測る仕組みが用意されていること。学科の例題と実技のポイント、さらに試験の分析結果まで公開されています。社内で「知識と技能を有する者」を説明する必要があるとき、どの水準を指すのかの手がかりになります。

2つ目は、研修の範囲が橋梁だけではないこと。シラバスには附属物の定期点検要領概論(附属物(標識、照明施設等)点検要領とは?5つの点検種別と頻度)と、シェッド・大型カルバート等の定期点検要領概論(シェッド・大型カルバート等定期点検要領の構成と判定)が入っています。土工構造物の構造の基本も含まれます。

3つ目は、収録されている要領が平成31年2月版であること。7章がそれです。令和6年3月改定の内容は入っていません。前節の注記「用語等の使い方が古いまま」は、ここに具体的に現れています。

なお、第1232号は「第829号や損傷事例を集めた第748号と併せて参考にできるように」まとめられたものだと概要欄に書かれています。単独で完結する資料ではありません。

損傷事例写真集が前提にしているのは平成16年の要領

第748号は「道路橋の定期点検に関する参考資料(2013年版)―橋梁損傷事例写真集―」です。概要欄は、前提としている要領を明記しています。「直轄の道路橋においては,現在,橋梁定期点検要領(案)(平成16年3月)(以下,「点検要領」という.)により,統一的な手法で点検が行われている.」

そのうえで、この要領で取得されるデータを2種類に整理しています。「点検要領では,統計的分析による劣化特性の評価などに用いるために予め定められた評価基準に従って区分される損傷の規模や進展の程度についての客観的記録(損傷程度の評価)と専門の技術者による部材毎の健全性や措置の必要性などについての助言(対策区分の判定)の2種類のデータが取得される.」

「損傷程度の評価」と「対策区分の判定」という2本立ては、平成16年要領の枠組みです。現行の体系では、健全性の診断の区分と、令和6年改定で新設された性能の見立てが入ります(「性能の見立て」とは?令和6年改定で新設された技術的評価)。写真集の説明文を読むときは、この用語の世代差を踏まえる必要があります。損傷程度の評価と対策区分そのものは損傷程度の評価(a〜e)とは?区分の意味と記録の単位、対策区分(A〜E・M・S)の判定とは?区分ごとの意味に整理しています。

収録されている損傷は①腐食から㉖洗掘までで、章立ては鋼部材・コンクリート部材・その他・共通の4グループです。この並びは橋梁の損傷26種類一覧:要領が定める区分と記録のしかたで扱っている26種類と対応します。末尾には「参考資料 部材種別の名称と記号の例」も付いています。

この写真集は、さらに前の版の更新版です。概要欄は「国土技術政策総合研究所資料第196号から各種事例や情報を追加更新したものである.」としています。第196号→第748号という系譜なので、古い社内資料が第196号を引いていたら、第748号に差し替えられます。

「定型的な判定基準は用意されていない」と原典が書いている

写真集をめくって、自分の現場の損傷に近い写真を探し、その写真に付いた区分をそのまま採る——という使い方をしたくなります。概要欄はそこを明確に切り分けています。

「このうち,前者(損傷程度の評価)は,点検要領において客観的な評価基準が示されている.一方で,後者(対策区分の判定)は,橋の性能に果たす個々の部材の役割や重要性,架橋環境なども考慮した総合的な判断であるため,定型的な判定基準は用意されていない.」

そして写真集の目的は、2つに分けて書かれています。

  • 「損傷程度の評価を行う点検者に対して,評価の客観性を高めるために,損傷程度の評価基準に応じた損傷事例写真を提供している.」
  • 「さらに,対策区分の判定を行う技術者とそれらの助言を受けて措置等の意志決定を行う道路管理者の双方に対して,判定や意志決定がより的確なものとなるように,既往の様々な損傷形態に関する損傷事例写真やそれらと関わりのある技術情報を提供するものである.」

読み替えると、損傷程度の評価には「客観性を高める」材料として使えるが、対策区分の判定には答えが無いということです。冒頭で触れた「外観のみからの機械的な評価が散見」という課題は、まさにここを飛ばすと起きます。写真に区分を合わせて終わりにせず、部材の役割・重要性・架橋環境まで含めて所見に書く、という順序が原典の想定です。判定の単位と理由の書き方は橋梁診断員とは?判定する側に求められる要件も合わせて確認してください。

体系図の「基礎データ収集要領」は第381号(案)を指している

4ページの「1)損傷程度の記録例 → 基礎データ収集要領」のリンク先は、国総研資料第381号「道路橋の健全度に関する基礎的調査に関する研究 -道路橋に関する基礎データ収集要領(案)-」のページです。現行運用で参照する「基礎データ収集要領(道路橋)令和6年版」(2024年8月)とは別の資料です(令和6年版の中身は基礎データ収集要領とは?損傷15種類の評価区分にまとめています)。

第381号は2部構成です。概要欄は「本報告書では,道路橋の劣化傾向等に関する調査結果を整理するとともに,それらの分析結果から,道路橋の健全度の把握にあたって最低限必要と考えられる基礎的情報を得るための手法について提案の形でとりまとめた。」としています。

部内容(公開ページの目次)
第Ⅰ部道路橋に関する基礎データ収集要領(案)/1.目的/2.適用の範囲/3.調査方法/4.評価要領/5.調査結果の記録/【様式および記入の例】(PDF・Excel)
第Ⅱ部道路橋の劣化傾向に関する調査結果/1.概要/2.分析対象/3.分析の方法/4.主な分析結果/【添付資料】鋼部材・RC床版・鋼製支承・コンクリート桁の損傷の分析結果、コンクリート部材のひびわれパターンに関する分析

実務で見落としやすいのは第Ⅱ部です。どの損傷がどの部材にどれくらい出るのかの分析結果が付いているので、点検計画の優先順位づけや、所見に書く劣化傾向の裏取りに使えます。ひびわれパターンの分析もここにあります(パターン番号の扱いはひびわれパターン番号の読み方:記録に2つ必要な理由、幅の基準はひび割れ幅の基準値:0.2mm・0.3mmはどこから来たか)。

様式はPDFとExcelの両方が置かれています。社内の記録様式を組むときの下敷きとして見ておく価値があります。

社内の手順書に参考資料を引くときの4つの確認

ここまでを、引用する前に確認する項目としてまとめます。

確認何を見るか外すとどうなるか
利用の制限研修テキスト(第829号・第1232号)は「個人の自学自習以外」の利用に国総研の許諾が必要無償PDFだからと社内研修で配布・引用してしまう
条番号施行令・施行規則の条番号は現行の政令・省令で確認(第829号は旧番号のまま)社内規程や仕様書の引用がずれる
前提の要領の版第748号=平成16年3月の点検要領(案)、第1232号の収録要領=平成31年2月版改定前の用語で記録様式や所見の書式を作ってしまう
同名の別資料「基礎データ収集要領」が第381号(案)か令和6年版(2024年8月)か評価区分の数や様式が合わない

最後に位置づけの確認です。参考資料は技術的助言の運用を支援するもので、法令上の義務ではありません。自組織が採用している要領と発注図書が優先します(国交省要領と都道府県の点検マニュアルの関係:どちらに従う?、橋梁定期点検要領(令和6年7月・直轄)とは?道路橋定期点検要領との違い)。参考資料は、そこに書く技術的評価の中身を自分の言葉で埋めるために使うものです。

出典:国土交通省 道路局 国道・技術課「定期点検(法定点検)について(橋梁、トンネル、シェッド・大型カルバート)」(2024年5月20日)ほか。参考資料は見直し作業中とされています。最新の版・公開状況は必ず原典をご確認ください。

よくある質問

Q. 定期点検の「参考資料」は守らないといけないものですか。
A. 法令が定める義務ではありません。国土交通省道路局 国道・技術課の説明資料「定期点検(法定点検)について」(2024年5月20日)は、法令・技術的助言・技術標準とは別の列に「定期点検 参考資料」を置き、「技術的助言運用の支援」と位置づけています。参考資料は、技術的評価の根拠を自分で書くための材料で、そこに書かれた区分や例をそのまま結論として写すためのものではありません。

Q. 参考資料として具体的に何が挙げられているのですか。
A. 同資料の4ページには4区分が並び、それぞれに具体的な資料名が示されています。「1)損傷程度の記録例 → 基礎データ収集要領」「2)耐荷性能評価の例」「3)考慮されるべき既往の劣化や損傷の事例 → 損傷事例集」「4)必要とされる最低限の知識と技能の目安 → 研修テキスト → 点検必携」です。リンク先として国総研資料第381号・第748号・第829号・第1232号と、日本道路協会発行の「道路橋点検必携 橋梁点検に関する参考資料」が挙げられています。

Q. 研修テキスト(国総研資料第829号・第1232号)を社内研修の教材にしてよいのですか。
A. 許諾が必要です。両資料の概要欄は「そのため個人の自学自習以外、たとえば研修などにおいて、事前に国土交通省国土技術政策研究所の許諾を得ないままの本書の一部または全部の利用は禁止します。」(第829号。第1232号は「国土交通省国土技術政策総合研究所」表記)としています。PDFが無償で公開されていることと、社内研修で配布・引用してよいことは別です。

Q. テキストを読めば省令の「知識と技能」を満たしたことになりますか。
A. 原典は満たさないと書いています。第1232号は「なお、省令が求める知識と技能の習得は、研修テキストの理解、適当な講師による本書の内容の講義、現地での近接目視と診断の実習、損傷事例や技術的助言の改定内容や経緯などの関連の技術情報の把握など、管理者が省令の解釈と運用にあたって少なくとも要求する研修内容全体の履修によってはじめて実現するものである。」としています。読了ではなく、講義・現地実習・改定内容の把握を含めたカリキュラム全体の履修が前提です。

Q. 第829号と第1232号はどう違うのですか。
A. 第829号は平成26年度に各地方整備局で実施された道路構造物管理実務者研修(橋梁初級Ⅰ)の講義内容そのもので、本文は「序論」「橋に関する基本的な知識」「橋の設計の基本と基準の変遷」「橋梁の点検」「橋の損傷」の5章構成です。第1232号は「その2」で、2022年時点の研修内容として、研修実施要領・達成度確認試験実施要領・履修内容(シラバス)・講義資料・試験の例題・実技のポイントまで入っています。第1232号は第829号と第748号を併せて参照する前提で書かれています。

Q. 参考資料は令和6年改定に合わせて更新されているのですか。
A. されていません。説明資料の4ページには注記が2つ付いています。「※ 改定にあわせた見直し作業中。近日更新予定。」と「※ 用語等の使い方が古いままである事に注意が必要であるが、技術的な評価に関する参考という点では引き続き活用可能。」です。たとえば第1232号は目次の7項目目に「道路橋定期点検要領(平成31年2月) ~技術的助言~」を収録しており、令和6年3月改定後の用語とは一致しません。

Q. 損傷事例写真集(第748号)は判定の答えとして使えますか。
A. 使えません。第748号の概要欄は「一方で,後者(対策区分の判定)は,橋の性能に果たす個々の部材の役割や重要性,架橋環境なども考慮した総合的な判断であるため,定型的な判定基準は用意されていない.」と明記しています。写真集の目的は「損傷程度の評価を行う点検者に対して,評価の客観性を高めるために,損傷程度の評価基準に応じた損傷事例写真を提供」することです。

Q. 体系図にある「基礎データ収集要領」は現行の令和6年版のことですか。
A. 説明資料がリンク先として挙げているのは国総研資料第381号「道路橋の健全度に関する基礎的調査に関する研究 -道路橋に関する基礎データ収集要領(案)-」のページです。第381号は第Ⅰ部が収集要領(案)、第Ⅱ部が道路橋の劣化傾向に関する調査結果という2部構成で、様式はPDFとExcelの両方が配布されています。現行運用で参照する「基礎データ収集要領(道路橋)令和6年版」(2024年8月)とは別の資料なので、社内文書に引くときはどちらを指しているかを明記してください。

Q. 点検必携だけ市販の本になっているのはなぜですか。
A. 説明資料は4区分の最後に「【日本道路協会発行】道路橋点検必携 橋梁点検に関する参考資料」を挙げ、リンク先を出版社の商品ページにしています。国総研資料はPDFで無償公開されていますが、点検必携は発行元が日本道路協会である市販の書籍で、入手経路が他の3点と違います。社内で参照先として指定する場合は、冊子の確保が必要です。

Q. 参考資料の全文PDFは普通にダウンロードできますか。
A. 容量が大きいものがあります。公開ページ上の表示では、全文のファイルサイズは第381号が20,401KB、第748号が247,787KB、第829号が209,952KB、第1232号が142,625KBです。第748号のページには「ファイル容量が大きいため、通信速度やコンピュータのパフォーマンスが低下する場合があります。」という注意書きが置かれています。章ごとの分割ファイルも用意されているので、必要な章だけ取るのが現実的です。

出典・適用範囲

本文の版・記述・引用を確認するための一次資料です。PDFと公開ページを当夜取得し、該当箇所を原文で照合しました。引用の読点・句点・全角半角は原典の表記に合わせています。

本記事は、国土交通省の説明資料が「定期点検 参考資料」として挙げている資料の位置づけ・構成・利用条件を確認するための実務解説です。各資料の本文の技術的内容(損傷ごとの評価例、写真の判断、講義資料の個別の記述、分析結果の数値)は扱っていません。研修テキストの利用可否の最終判断は、国土技術政策総合研究所の許諾手続きによります。本記事は許諾の要否を代わりに判断するものではありません。また、参考資料は説明資料の時点で「見直し作業中。近日更新予定。」とされており、更新後は構成や資料名が変わる可能性があります。自組織が採用している要領と発注図書を優先してください。