この記事の要点
  • 別紙2「点検表記録様式」は様式(その1)点検表(点検結果票)と様式(その2)状況写真(損傷状況)の2枚組。様式(その1)の行は別紙1の評価単位の区分(支柱・横梁・標識板等・基礎・その他)と対応している
  • 記録の条文は片持ち式(5-5)が「結果並びに措置の内容等」、路側式(6-3)は「変状が確認された場合」と範囲が違う。保存期間はどちらも年数ではなく「当該施設等が利用されている期間中」
  • 「対策の要否」は施設単位ではなく点検部位毎・変状内容毎に判定する。第三者被害のおそれがある変状は応急的に措置を実施したうえで判定する
  • 変状の種類のリストが要領内に2つあり数が一致しない(表-解5-4-1は8区分/付録2の付表3-1は番号付き6種)。「変状度」の判定表は本文から参照されているが、付録2に収録されていない

橋やトンネルの点検調書は様式が決まっていて、何をどこに書くかで迷うことは少ないです。ところが標識柱や照明柱の点検になると、手元の様式が自組織で作ったものなのか、要領に載っているものなのかが曖昧になりがちです。

標識及び照明施設の点検は、小規模附属物点検要領(平成29年3月)が標準的な方法を定めています。この要領の末尾には別紙2として点検表記録様式が収録されていて、記録の条文からそこへ参照が張られています。

この記事では、別紙2の2枚組が何をどの欄で受けるのかを原文で確認します。そのうえで、記録の条文が片持ち式と路側式で違うこと、そして「対策の要否」をどう埋めるのかを整理します。

この要領が受け持つ範囲と、記録の位置

まず適用範囲を確認します。

「本要領は、道路法(昭和 27 年法律第 180 号)第2条第2項に規定する道路の附属物のうち、道路の標識及び照明施設(以下、「小規模附属物」という。)の点検に適用する。」(1.適用範囲)

補足では、標識や照明施設における電気設備に関する点検と、標識・照明施設の機能についての点検は適用範囲に含まないとされています。つまりこの要領が見るのは、支柱や支柱取付部等の構造側だけです。門型支柱(オーバーヘッド式)を有する大型の標識・道路情報提供装置は別の要領で、現行版の位置づけは門型標識等定期点検要領とは?令和6年改定と基板・支柱のA〜C評価にまとめています。施設の種別ごとに適用要領が分かれる全体像は点検義務があるのは橋だけではない|道路の法定点検「5施設」と5年ルールと小規模附属物点検要領と標識柱・照明柱の点検頻度が入口です。

用語の定義では、小規模附属物は事象の区分に応じて2つに分類されます。落下・倒壊事象のおそれがある「片持ち式」(標識のF型・逆L型・T型および高所に設置された単柱式又は複柱式、照明の逆L型・Y型・直線型)と、倒壊事象のおそれがある「路側式」(片持ち式に分類したものを除く単柱式・複柱式の標識)です。要領の本体はこの2つを章ごとに分けて書いていて、記録の条文も5章(片持ち式)の5-5と6章(路側式)の6-3に別々に置かれています。

そして、どちらの補足にも同じ一文が添えられています。「(別紙2 点検表記録様式参照)」です。記録の受け皿は要領の末尾にある別紙2だ、という作りです。

記録の条文は片持ち式と路側式で違う

条文を並べると、求められている範囲が違うことが分かります。

条項条文記録する対象
5-5 記録(片持ち式)「片持ち式の詳細点検及び中間点検の結果並びに措置の内容等を記録し、当該施設等が利用されている期間中は、これを保存する。」詳細点検・中間点検の結果と措置の内容
6-3 記録(路側式)「路側式の点検等の結果、変状が確認された場合は内容等を記録し、当該施設が利用されている期間中は、これを保存する。」変状が確認された場合の内容

片持ち式は、変状があったかどうかにかかわらず詳細点検と中間点検の結果を記録します。路側式は「変状が確認された場合」に限られています。この差は点検の種別の差から来ています。路側式の点検等の方法(6-1)は巡視だけで、「巡視時に、パトロール車内から目視を基本として、変状の有無を点検する。」とだけ書かれています。詳細点検・中間点検の頻度表(表5-2-1。詳細点検10年に1回・中間点検5年に1回)は片持ち式の5-2にあり、路側式には対応する規定がありません。

保存期間の書き方も揃っています。年数ではなく「当該施設等が利用されている期間中」です。橋の定期点検記録の保存年数の考え方とは別の建て付けなので、点検記録の保存期間の年数をそのまま当てないでください。施設を撤去・更新するまで持ち続けることになります。

様式(その1)点検表:行は評価単位の区分で決まっている

別紙2は2枚組です。1枚目が様式(その1)「点検表(点検結果票)」、2枚目が様式(その2)「状況写真(損傷状況)」です。

様式(その1)は上段が■基本情報、下段が■点検結果、その下に■所見(その他特記事項)と■ポンチ絵、全景写真等の欄があります。基本情報の項目は次のとおりです。

欄項目
施設の特定種別/形式/管理者名/管理番号/路線名/所在地
設置と点検の時点設置年月/点検年月日
位置設置位置(緯度/経度)
実施者点検員

「形式」の欄があるのは、別紙1が「これらの分類は、施設の構造形式毎に区分する必要がある。」としているためです。F型・逆L型・T型・単柱式・複柱式といった形式で弱点部の位置が変わるので、形式を書かないと点検箇所の妥当性が追えません。

点検結果の表は、左から部材名/点検箇所(弱点部となる部材等)/変状の発生状況(変状の種類・損傷写真(写真番号))/措置又は措置後の確認結果(措置年月日・措置の内容)/対策の要否/備考という並びです。部材名の行は支柱・横梁・標識板等・基礎・その他の5行で、これは別紙1の別表-1「評価単位の区分と主な点検箇所」の区分と一致しています。

評価単位の区分(部材)別表-1に挙げられた主な点検箇所(弱点部となる部材等)
支柱支柱本体(支柱本体、支柱分岐部、支柱継手部、支柱内部 等)/支柱基部(路面境界部、リブ取付溶接部、柱・ベースプレート溶接部、柱・基礎境界部 等)/その他(電気設備用開口部、電気設備用開口部ボルト 等)
横梁横梁本体(横梁本体、横梁取付部 等)/溶接部・継手部(横梁仕口溶接部、横梁継手部 等)
標識板等標識板及び標識板取付部(重ね貼りのビス含む)/灯具及び灯具取付部
基礎基礎コンクリート部(露出している場合、または舗装等を掘削した際に確認できる場合)/アンカーボルト・ナット
その他管理用の足場や作業台などがある場合に適宜設定

基礎の2項目には「露出している場合、または、舗装等を掘削した際に確認できる場合」という条件が付いています。見えていないものを空欄で済ませるのか、見ていないと書くのかは様式では決まっていないので、所見欄の使い方として先に決めておく必要があります。要素の番号付けと調書の対応の考え方は要素番号の付け方が参考になります。

様式(その2)状況写真:3つの注意書きが効く

様式(その2)は写真台帳です。1ページに写真の枠が並び、各枠に写真番号/部材名/点検箇所/変状の種類(以上が変状)/措置の方法/措置年月日(以上が措置)/備考欄が付きます。上部には形式・管理番号・路線名・管理者名・点検員・点検年月日が入ります。

様式の下に3つの注意書きがあり、実務ではここが効きます。

「○同一部材で、種類が異なる変状がある場合は、変状の種類毎に記載する。」
「○写真は、不具合の程度が分かるように添付すること。」
「○措置を行った場合は、措置後の写真も添付すること。」(別紙2 様式(その2)の注記)

1つ目は、1部材1行でまとめないという指示です。支柱基部に腐食とき裂の両方があれば、変状の種類ごとに行を分けます。3つ目は、措置後の写真が別に要求されているという点です。応急措置をその場で行う運用では、措置前と措置後の2枚が1組になります。写真の撮り方・整理の実務は写真台帳の作り方にまとめています。

なお、片持ち式の詳細点検では近接が困難な場合に目視点検にカメラ等を活用してよいとされ、中間点検では「梯子などを利用しても外観が確認できない弱点部については、カメラ等を用いて全部位について異常の有無を確認する。」とされています。カメラを近接目視の代わりに使う条件が数値で決められている要領もあるので、どの要領の条件に従うのかは混ぜないでください(標識点検でカメラを近接目視の代わりにできる条件は附属物(標識,照明施設等)点検要領側の規定です)。

「対策の要否」は部位毎・変状内容毎に判定する

様式(その1)の右側にある「対策の要否」の欄は、要領5-4が根拠です。

「片持ち式の詳細点検及び中間点検では、構造物の変状を把握したうえで、点検部位毎、変状内容毎の対策の要否について、判定を行う。」
「対策が必要と判定された変状部位に対しては、変状原因を特定し、適切な工法を選定する。」(5-4 対策の要否の判定)

判定の単位は施設ではなく、点検部位毎・変状内容毎です。同じ支柱でも、支柱本体のき裂は要、支柱基部の局部的な腐食は否、という書き方になります。健全性の診断の区分のように施設単位で1つの記号を決める建て付けではありません(施設単位で区分を決める要領との違いは健全性の診断と部材単位の判定を参照)。

補足では順序が指定されています。

「第三者被害のおそれがある変状が認められた場合は、応急的に措置を実施したうえで判定を行うこととする。」
「判定は、対策の要否、変状部材(又は部位)、変状要因に対して、経済性を考慮した適切な対策工法を選定したうえで、実施する必要がある。」(5-4 補足(1))

応急措置が先、判定が後です。この順序は様式の列の並びにも出ていて、「変状の発生状況」の次が「措置又は措置後の確認結果」、その次が「対策の要否」になっています。第三者被害の予防措置そのものの考え方は第三者被害予防措置、高所作業側の装備は墜落制止用器具と点検作業で扱っています。

もう1点、補足は「経済性を考慮した適切な対策工法を選定したうえで」判定するとしています。要否だけを先に決めて工法を後回しにする書き方は、条文の順序と合いません。

対策方法の目安:本体を撤去するのは4つの場合

表-解5-4-1「変状の内容と対策方法の目安」は、変状内容と状況の組み合わせごとに一般的な対策方法を挙げています。原典の表から対策方法を書き写すと、次のようになります。

変状内容状況対策方法の目安
き裂支柱本体にき裂がある。早急に本体を撤去する。新設する場合は、必要に応じてき裂が生じにくい構造等を採用する。
き裂灯具、標識板等の本体以外にき裂がある。き裂が生じている部材を交換する。交換する場合は、必要に応じてき裂が生じにくい構造等を採用する。
ゆるみ・脱落ボルト・ナットにゆるみがある。締め直しを行う。また、早期にゆるみが生じるおそれがある場合には、ゆるみ止め対策(ダブルナット、ゆるみ止め機構付ナット)等を実施する。
ゆるみ・脱落ボルト・ナットに脱落がある。早急にボルト・ナットを新設する。また、早期にゆるみが生じるおそれがある場合には、ゆるみ止め対策(ダブルナット、ゆるみ止め機構付ナット)等を実施する。
破断ボルトの破断がある。早急にボルトを新設する。支柱の振動が要因と考えられる場合には、必要に応じて制振対策を施す。
防食機能の劣化、腐食、孔食局部的な腐食の発生がある。錆落としを行い、タッチアップ塗装を行う。
防食機能の劣化、腐食、孔食全体的な腐食の発生がある。錆落としを行い、防食を行う。また、必要に応じて防食仕様の向上を図る。
防食機能の劣化、腐食、孔食腐食による断面欠損や限界板厚を下回る板厚減少がある。早急に本体を撤去する。新設する場合は、必要に応じて防食仕様の向上を図る。
防食機能の劣化、腐食、孔食異種金属接触による腐食の発生がある。材料の変更(母材と同材料)又は絶縁体を施す。なお、絶縁体を施した場合には定期的な観察を行う。
防食機能の劣化、腐食、孔食路面境界部に腐食が生じている。支柱基部の腐食対策後に、水切りコンクリートを施工する。
防食機能の劣化、腐食、孔食貫通した孔食がある。早急に本体を撤去する。
変形・欠損支柱本体に著しい変形や欠損がある。早急に本体を撤去する。
変形・欠損灯具、標識板等の本体以外に著しい変形や欠損がある。変形や欠損が生じている部材を交換する。
ひびわれ うき・剥離基礎コンクリートにひびわれが生じている。基礎コンクリートをはつり、支柱基部の腐食対策後に、基礎コンクリートの補修を行う。
滞水支柱内部に滞水が生じている。排水を行う。必要に応じて腐食調査を行う。
滞水基礎コンクリートに滞水が生じている。基礎コンクリートをはつり、支柱基部の腐食対策後に、基礎コンクリートの補修を行う。
その他開口部のパッキンに劣化が生じている。パッキンの交換を行う。

読み方として重要なのは、支柱本体と「本体以外」で対策が書き分けられていることです。き裂と変形・欠損のどちらも、支柱本体なら「早急に本体を撤去する」、灯具・標識板等なら「部材を交換する」です。「早急に本体を撤去する」が挙げられているのは4つで、支柱本体のき裂、腐食による断面欠損や限界板厚を下回る板厚減少、貫通した孔食、支柱本体の著しい変形や欠損です。いずれも支柱が支持機能を失う型の変状です。

ゆるみ・脱落では、締め直しや新設だけでなく「早期にゆるみが生じるおそれがある場合」のゆるみ止め対策(ダブルナット、ゆるみ止め機構付ナット)が併記されています。原因側に手を入れる対策が目安に書き込まれている形です。ボルトのゆるみ・脱落そのものの見方はゆるみ・脱落の見方、防食機能の低下と腐食の線引きは防食機能の劣化と腐食の違いで整理しています。

変状の種類のリストが2つあり、数が合わない

点検表の「変状の種類」の欄を埋めるときに、要領の中で参照先が1つに決まりません。リストが2つあり、数が違います。

出どころ区分数
表-解5-4-1「変状の内容と対策方法の目安」の変状内容の欄き裂/ゆるみ・脱落/破断/防食機能の劣化、腐食、孔食/変形・欠損/ひびわれ うき・剥離/滞水/その他8区分
付録2 付表3-1「変状の種類」鋼部材=1き裂 2破断 3変形・欠損 4腐食 5ゆるみ・脱落/コンクリート部材=6ひびわれ番号付き6種

付表3-1には「その他」の列が置かれていますが、番号付きの種類は入っていません。滞水は表-解5-4-1には区分として立っているのに、付表3-1の番号付きの種類には現れません。点検表の変状の種類を8区分で書くのか1〜6の番号で書くのかは様式側では決まっていないので、発注時に揃えておく必要があります。

もう1つ、本文の参照と付録の中身がずれている箇所があります。5-4の補足は「表-解 5-4-1 に変状の内容と一般的な対策方法の目安を示すとともに、変状度の判定と対策の目安を付録2に示す。」と書いています。ところが付録2の表題は「変状の事例」で、冒頭は「『小規模附属物点検要領』に従って、対策の要否の判定を行う場合の参考となるよう、典型的な変状例を示す。」です。収録されているのは部材ごとの参考事例(写真と備考)で、「変状度」という語の定義も、変状度の判定表も当夜確認した版には見当たりませんでした。付録2はさらに「各部材の状態の判定は、構造形式や設置条件によっても異なるため、定量的に判断することは困難であり、実際の点検においては附属物等の条件を考慮して適切な要否判定を行う必要がある。」と断っています。

したがって、点検表に「変状度」の欄を自前で足して段階評価を入れると、要領に根拠のない区分を調書に持ち込むことになります。判定は要否の2値で書き、程度は写真と備考で示すのが原典に沿った形です。損傷の程度を記号で表す体系は橋梁側の要領の建て付けなので、混同しないでください(損傷程度の評価区分a〜e)。

記録は基本使用年数の検討材料になる

記録の使い道が、片持ち式と路側式で書き分けられています。片持ち式の5-5の補足は「点検の結果は、合理的な維持管理を実施するうえで貴重な資料となることから、適切な方法で記録し蓄積する。」です。路側式の6-3の補足は一歩踏み込んでいます。「点検・更新等の結果は、基本使用年数の検討等合理的な維持管理をするうえで貴重な資料となる」です。

路側式には、更新の目安となる基本使用年数を道路管理者が設定するという規定(6-2(2))があります。用語の定義では基本使用年数は「対象とする附属物が健全な状態を維持されるとあらかじめ期待する期間であり、更新の検討を行う目安の年数」とされ、「道路管理者が管内の損傷の実績等から適切に設定する」ものです。つまり点検表に残した変状の記録が、その「管内の損傷の実績」そのものになります。記録を残さなければ、年数を自組織の実績から決める材料が増えません。

要領は設定の参考として亜鉛メッキの耐用年数を示しています(表-解6-2-1。原典の注記では出典は(社)全国道路標識・標示業協会「道路標識(規制・指示)診断マニュアル【劣化・基準編】」H22.9)。

標識柱鋼板厚亜鉛メッキ付着量都市・工業地帯田園地帯海岸地帯
3.2mm未満350g/m239年72年16年
3.2〜6mm未満400g/m245年82年18年
6mm以上550g/m262年113年25年

要領はこの表に注意を添えています。「亜鉛メッキの耐用年数は、設置環境と付着量によって異なるほか、路面部境界部の滞水や土中への埋め込み部の環境によって腐食の進行に大きなバラツキがあることに注意が必要である。」です。表の年数をそのまま基本使用年数にできるという趣旨ではありません。直轄国道の単柱式を対象とした経年劣化状況(図-解6-2-1)からは「約 30 年経過した単柱式の標識は、腐食率と撤去率が増加する傾向がみられ」、亜鉛メッキの耐用年数等も参考にすると基本使用年数は30年が一つの目安になると考えられる、とされています。そのうえで「基本使用年数を経過したからといって、必ず更新することを定めているわけではなく、損傷状況を確認し、更新の適否を適切に判断するのがよい。」と結ばれています。

この表の数値は海岸地帯で16〜25年と、都市・工業地帯の半分以下です。設置環境の記録を点検表の基本情報に残しておかないと、後からこの区分に当てられません。

着手前に発注者と揃えておく4点

様式が要領の別紙である以上、細部は発注者側の運用で決まります。当夜確認した原典の範囲で、調書の仕様として先に揃えておくべきものは次の4点です。

決めること要領に書かれている範囲決めていないと起きること
「変状の種類」の語彙表-解5-4-1の8区分と付表3-1の番号付き6種の2つがあり、どちらを使うかの指定は無い同じ変状が施設によって違う語で記録され、集計できない
変状が無かった部位の書き方様式に空欄・該当なしの記号の定めは無い。路側式は「変状が確認された場合」のみ記録「見ていない」と「異常なし」が調書上で区別できない
措置後の写真の点数と撮り方「措置を行った場合は、措置後の写真も添付すること。」のみ応急措置の記録が1枚で済むのか組で要るのかが現場判断になる
見えない部位の扱い基礎は「露出している場合」「舗装等を掘削した際に確認できる場合」。詳細点検では必要に応じて掘削調査を行うのがよいとされる掘削の有無が見積に入らず、同じ様式で精度の違う調書が混ざる

加えて、片持ち式の詳細点検ではボルトのゆるみについて「工具等を用いて締め付けを確認する」、支柱に開口部を有する場合は「開口部のフタを外し」内部の滞水の有無を確認するとされています。フタの開閉や締め付け確認が作業として積まれているかは、様式ではなく仕様書側の話です。点検の費用と作業時間の見方は点検支援技術の導入費用の見方を参考にしてください。調書の記載そのものの作法は点検調書の書き方にまとめています。

この記事の結論

小規模附属物の点検結果の受け皿は、要領の別紙2「点検表記録様式」の2枚組(様式(その1)点検表・様式(その2)状況写真)です。様式(その1)の行は別紙1の評価単位の区分(支柱・横梁・標識板等・基礎・その他)と対応し、「対策の要否」は施設単位ではなく点検部位毎・変状内容毎に、第三者被害のおそれがある変状は応急措置の後の状態で判定します。記録の条文は片持ち式が結果そのもの、路側式は変状が確認された場合に限られ、保存は年数ではなく施設が利用されている期間中です。変状の種類のリストは要領内で8区分と番号付き6種の2つがあり数が合わないため、語彙は着手前に発注者と揃えてください。

よくある質問

Q. 標識柱・照明柱の点検結果はどの様式に書きますか。
A. 小規模附属物点検要領(平成29年3月)の別紙2「点検表記録様式」です。様式(その1)が点検表(点検結果票)、様式(その2)が状況写真(損傷状況)の2枚組で、要領の5-5(片持ち式の記録)と6-3(路側式の記録)の補足がどちらも「(別紙2 点検表記録様式参照)」と指しています。ただし法令上の定めがある様式ではなく、要領に収録された記録様式です。

Q. 記録の条文は片持ち式と路側式で同じですか。
A. 違います。片持ち式の5-5は「片持ち式の詳細点検及び中間点検の結果並びに措置の内容等を記録し、当該施設等が利用されている期間中は、これを保存する。」で、結果そのものを記録します。路側式の6-3は「路側式の点検等の結果、変状が確認された場合は内容等を記録し、当該施設が利用されている期間中は、これを保存する。」で、変状が確認された場合に限られています。路側式の点検等は巡視だけなので、変状のない施設の記録は条文上求められていません。

Q. 保存期間は何年ですか。
A. 年数では書かれていません。5-5と6-3のどちらも「当該施設等が利用されている期間中は、これを保存する。」です。点検の周期(詳細点検10年・中間点検5年)とも、他の要領の保存年数とも別の建て付けで、施設を撤去・更新するまで持ち続けることになります。

Q. 様式(その1)の行は何で区切られていますか。
A. 別紙1「評価単位の区分」と同じ区分です。様式(その1)の点検結果の表は、部材名の欄が支柱・横梁・標識板等・基礎・その他の5行で、別表-1の評価単位の区分(支柱/横梁/標識板等/基礎/その他)に対応しています。隣の列が「点検箇所(弱点部となる部材等)」で、別表-1の右列にある支柱本体・支柱基部・横梁本体・溶接部・継手部などを書く場所です。

Q. 「対策の要否」の欄は何を根拠に埋めますか。
A. 要領5-4です。「片持ち式の詳細点検及び中間点検では、構造物の変状を把握したうえで、点検部位毎、変状内容毎の対策の要否について、判定を行う。」とあり、施設単位ではなく部位毎・変状内容毎に判定します。補足では「判定は、対策の要否、変状部材(又は部位)、変状要因に対して、経済性を考慮した適切な対策工法を選定したうえで、実施する必要がある。」とされ、工法の選定まで含めて判定するという順序です。

Q. 第三者被害のおそれがある変状を見つけたら、要否はどう書きますか。
A. 補足に「第三者被害のおそれがある変状が認められた場合は、応急的に措置を実施したうえで判定を行うこととする。」とあります。措置を先に行い、その後の状態で判定します。様式(その1)には「措置又は措置後の確認結果」として措置年月日と措置の内容の欄があり、様式(その2)にも措置の方法と措置年月日の欄があります。

Q. 同じ部材に違う変状が2つあるときはどう書きますか。
A. 様式(その2)の下に3つの注意書きがあり、その1つが「同一部材で、種類が異なる変状がある場合は、変状の種類毎に記載する。」です。残る2つは「写真は、不具合の程度が分かるように添付すること。」と「措置を行った場合は、措置後の写真も添付すること。」で、措置後の写真は変状の写真とは別に要求されています。

Q. 変状の種類は何種類ですか。
A. 要領の中で2つのリストが並んでいて、数が一致しません。表-解5-4-1「変状の内容と対策方法の目安」の変状内容の欄は、き裂/ゆるみ・脱落/破断/防食機能の劣化、腐食、孔食/変形・欠損/ひびわれ うき・剥離/滞水/その他の8つです。一方で付録2の付表3-1「変状の種類」は、鋼部材が①き裂②破断③変形・欠損④腐食⑤ゆるみ・脱落、コンクリート部材が⑥ひびわれの6つで、滞水とその他が番号付きの種類には入っていません。点検表の「変状の種類」をどちらで書くかは、発注時に揃えておく必要があります。

Q. 「変状度」の判定表はどこにありますか。
A. 当夜確認した版では見当たりませんでした。本文5-4の補足は「表-解 5-4-1 に変状の内容と一般的な対策方法の目安を示すとともに、変状度の判定と対策の目安を付録2に示す。」と書いていますが、付録2の表題は「変状の事例」で、冒頭は「典型的な変状例を示す」とされ、収録されているのは部材ごとの写真と備考です。変状度という語の定義や判定表は、3.用語の定義にも付録2にも置かれていません。本文の参照と付録の中身がずれている箇所として扱い、独自に補わないでください。

Q. 対策方法の目安で「早急に本体を撤去する」になるのはどんな変状ですか。
A. 表-解5-4-1でこの対策が挙げられているのは4つです。支柱本体にき裂がある場合、腐食による断面欠損や限界板厚を下回る板厚減少がある場合、貫通した孔食がある場合、支柱本体に著しい変形や欠損がある場合です。いずれも支柱本体に関わるもので、灯具・標識板等の本体以外に同じ変状があるときは「部材を交換する」と書き分けられています。

Q. 点検表に残した記録は何に使われますか。
A. 片持ち式は5-5の補足で「点検の結果は、合理的な維持管理を実施するうえで貴重な資料となる」とされています。路側式は6-3の補足で「点検・更新等の結果は、基本使用年数の検討等合理的な維持管理をするうえで貴重な資料となる」と、使い道が基本使用年数の検討と明記されています。路側式は更新の目安となる年数を道路管理者が管内の損傷の実績等から設定する建て付けなので、記録がその実績そのものになります。

Q. この要領は国土交通省が管理する道路だけに適用されますか。
A. 適用範囲は道路法第2条第2項に規定する道路の附属物のうち、道路の標識及び照明施設です。管理者による限定は書かれていません。ただし標識や照明施設の電気設備に関する点検と、標識・照明施設の機能についての点検は適用範囲に含まないとされています。また橋梁・トンネル・横断歩道橋・ボックスカルバート等に設置されている小規模附属物は、それぞれの定期点検要領に基づいて実施するものとされています。

出典・適用範囲

本文の条文・表・注記を確認するための一次資料です。PDFを当夜取得し、該当箇所を原文で照合しました。引用の読点・句点・全角半角は原典の表記に合わせています(本要領は読点に「、」を用いています)。原典の表のセル結合やレイアウト、付録2の写真は再現していません。

  • 国土交通省 道路局「小規模附属物点検要領」(平成29年3月・全36ページ) — 参照箇所:1.適用範囲とその補足/2.点検の目的/3.用語の定義(1)表3-1・(2)点検等(a)〜(c)・(3)弱点部・(4)基本使用年数/4.点検の基本的な考え方/5-1 点検等の方法とその補足/表5-2-1 点検の頻度/5-3 点検の体制/5-4 対策の要否の判定と表-解5-4-1/5-5 記録/6-1 点検等の方法/6-2 対策の検討と表-解6-2-1・図-解6-2-1/6-3 記録/別紙1 評価単位の区分(別表-1)/別紙2 点検表記録様式 様式(その1)・様式(その2)と注記/付録2 変状の事例の冒頭文および付表3-1(当夜取得 HTTP 200・2,222,399バイト・SHA256 85a9cc24ed0b688012d467167e16f3cc0f0de593825e54c6331439f87a17d513)
  • 国土交通省「道路の老朽化対策(予防保全)」(点検要領一覧) — 小規模附属物点検要領の掲載年月(平成29年3月)と、他要領との並びの確認に使用(当夜取得 HTTP 200・29,497バイト)

本記事は、小規模附属物点検要領(平成29年3月)における記録の条文と別紙2の点検表記録様式の読み方を原文で確認するための実務解説です。適用対象は道路法第2条第2項に規定する道路の附属物のうち道路の標識及び照明施設で、標識・照明施設の電気設備に関する点検と、標識・照明施設の機能についての点検は要領の適用範囲外であり、本記事でも扱いません。門型標識等の定期点検、および橋梁・トンネル・横断歩道橋・ボックスカルバート等に設置されている小規模附属物の点検は、それぞれの要領に基づくため本記事の範囲外です。付録1「一般的構造と主な着目点」の付図、付録2「変状の事例」の個別の写真と判断、図-解6-2-1のグラフの読み取り値は本記事では再現していません(図の数値は画像からの読み取りになり一意に特定できないため、本文に挙げたのは原典が文章で述べている「約30年」「30年が一つの目安」のみです)。個別の施設に対策の要否のどちらを付すかの判定も行いません。要領の版、発注図書の仕様、道路管理者の指示を優先してください。