定期点検で健全性の診断がⅢ・Ⅳとなった橋について、修繕までの間の措置として「大型車通行止め」や「重量○トン以下」の規制を検討する場面があります。このとき担当者がまず迷うのが、その規制をどの条文でかけるのかという点です。

通行止めの根拠が道路法第46条であることは比較的知られていますが、重量を絞る規制は第46条ではなく第47条第3項で、条文の書きぶりも、手続も、罰則も別物です。しかも第47条第3項には「構造計算その他の計算又は試験によつて安全であると認められる限度」という縛りが入っており、点検の判定区分だけでは限度の数字が出てきません。

この記事では、道路法・車両制限令・道路法施行規則の条文を原文で確認しながら、重量制限がどの条文でどう決まるのか、点検結果とのあいだにどれだけ距離があるのかを整理します。

この記事の要点
  • 橋の重量制限の根拠は道路法第47条第3項。通行止め一般の第46条第1項とは別条文で、対象が「トンネル、橋、高架の道路その他これらに類する構造の道路」に限られる
  • 第47条第3項が求めるのは「構造計算その他の計算又は試験によつて安全であると認められる限度」。健全性の診断区分そのものは、この限度の数字にはならない
  • 第46条第1項には緊急時に公安委員会への意見聴取を省略できるただし書があるが、第47条第3項にはその例外が及ばない(道路法第95条の2第1項)
  • 罰則は非対称。第47条第3項の制限違反は6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金(第103条第5号)、一般的制限値を超える通行をさせた側は100万円以下の罰金(第104条第1号)
  • 重量制限をかけた橋も、第47条の2第1項の許可があれば限度を超えて通行しうる。制限は「絶対に通れない」という意味ではない

重量制限の条文は第46条ではなく第47条第3項

まず、通行止め一般の根拠となる道路法第46条第1項を確認します。

「道路管理者は、左の各号の一に掲げる場合においては、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、区間を定めて、道路の通行を禁止し、又は制限することができる。一 道路の破損、欠壊その他の事由に因り交通が危険であると認められる場合 二 道路に関する工事のためやむを得ないと認められる場合」(道路法第46条第1項)

ここには「重量」という語がありません。対象は「道路の通行」であって、車両の重さを名指しした規定ではありません。橋の耐荷力を理由に重さを絞るときに使うのは、次の第47条第3項です。

「道路管理者は、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため必要があると認めるときは、トンネル、橋、高架の道路その他これらに類する構造の道路について、車両でその重量又は高さが構造計算その他の計算又は試験によつて安全であると認められる限度をこえるものの通行を禁止し、又は制限することができる。」(道路法第47条第3項)

条文の作りが第46条とはっきり違います。第47条第3項は、①対象施設が構造物に限定されている、②禁止・制限の対象が「道路の通行」ではなく「限度をこえる車両の通行」である、③その限度が計算または試験から出てくることを条文が明示している、という3点で特殊です。「重量○トン以下」という標識の背後にあるのはこの条文です。

なお、第47条第3項が挙げているのは重量と高さの2つだけです。幅や長さをこの項で絞ることはできません。狭隘な橋で幅を制限したい場合は、別の枠組み(車両制限令第5条・第6条の一般的な幅の制限や、第46条第1項による通行の制限)を検討することになります。

「構造計算その他の計算又は試験」という縛り

実務でいちばん効いてくるのがこの部分です。第47条第3項は、限度を「構造計算その他の計算又は試験によつて安全であると認められる限度」と書いています。つまり限度の数字は、計算か試験の結果として出てくることが条文上の前提になっています。

ここで、定期点検の側の条文と突き合わせてみます。道路法施行規則第4条の5の6第2号は、点検を行ったときの扱いをこう定めています。

「前号の点検を行つたときは、当該トンネル等について健全性の診断を行い、その結果を国土交通大臣が定めるところにより分類すること。」(道路法施行規則第4条の5の6第2号)

診断の結果は「分類」されるところまでで、耐荷力の数値が出るわけではありません。健全性の診断区分はⅠからⅣの4段階の分類であって、何トンまで載せてよいかを示すものではないのです。

したがって「Ⅲ判定が出たので明日から重量制限」という手順は、条文の順序としては飛んでいます。第47条第3項で制限をかけるには、その前に耐荷力に関する計算または試験を挟む必要があります。措置の区分を検討する段階で、この計算・試験に要する期間と費用を工程に見込んでおかないと、規制の実施日が動きます。

逆にいえば、計算や試験を待たずに今すぐ危険を止めたい場合は、第47条第3項ではなく第46条第1項第1号を使うという整理になります。第46条第1項第1号は「道路の破損、欠壊その他の事由に因り交通が危険であると認められる場合」であり、限度の算定を要件にしていません。

出典:道路法(昭和27年法律第180号。令和8年7月23日施行時点)第46条・第47条・第47条の2・第95条の2・第103条・第104条、車両制限令(昭和36年政令第265号。令和4年4月1日施行時点)第3条・第7条・第10条・第12条、道路法施行規則(昭和27年建設省令第25号。令和8年4月1日施行時点)第4条の5の6。いずれもe-Gov法令検索の法令APIから取得した原文を確認しています。

一般的制限値との二階建て構造

第47条第3項を理解するには、その前段にある第1項・第2項との関係を見る必要があります。

「道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、政令で定める。」(第47条第1項)「車両でその幅、重量、高さ、長さ又は最小回転半径が前項の政令で定める最高限度をこえるものは、道路を通行させてはならない。」(第47条第2項)

この「政令」が車両制限令です。車両制限令第3条第1項は、法第47条第1項の最高限度として次の値を定めています。

項目車両制限令第3条第1項が定める最高限度
2.5メートル
総重量高速自動車国道、または道路管理者が支障がないと認めて指定した道路は「25トン以下で車両の長さ及び軸距に応じて国土交通省令で定める値」。その他の道路は20トン
軸重10トン
隣り合う車軸に係る軸重の合計軸距1.8メートル未満は18トン(軸距1.3メートル以上かつ双方の軸重が9.5トン以下なら19トン)、1.8メートル以上は20トン
輪荷重5トン
高さ指定道路は4.1メートル、その他の道路は3.8メートル
長さ12メートル
最小回転半径車両の最外側のわだちについて12メートル

これがいわゆる一般的制限値で、個別の橋の状態とは無関係に、全国の道路にかかっている上限です。第47条第3項は、この上限のさらに内側に、その橋だけの限度を追加でかける仕組みになっています。二階建ての構造だと理解すると整理しやすくなります。

混同されやすい規定として、車両制限令第7条があります。第7条第1項は舗装がされていない都道府県道・市町村道について、第7条第2項は「融雪、冠水等のため支持力が著しく低下している道路」について、道路管理者が総重量・軸重・輪荷重の限度を定められるとしています。第7条第2項の限度についても、第3項が「国土交通省令で定める構造計算又は試験の方法に基づいてしなければならない」と定めており、やはり計算か試験が前提です。ただしこれらは路面・路盤・路床の破損防止が目的の規定で、橋の上部構造・下部構造の耐荷力を理由に絞る第47条第3項とは目的が違います。

第46条と第47条第3項の使い分け

2つの条文の違いを、実務で問われる順に並べます。

観点第46条第1項第47条第3項
対象施設道路一般トンネル、橋、高架の道路その他これらに類する構造の道路
要件破損・欠壊その他の事由により交通が危険/道路工事のためやむを得ない構造の保全または交通の危険の防止のため必要があると認めるとき
禁止・制限の対象道路の通行そのもの重量または高さが限度をこえる車両の通行
限度の算定条文上の要件なし構造計算その他の計算または試験が前提
区間の指定「区間を定めて」と明記区間の明記なし(施設単位で読む)
道路監理員の緊急措置第46条第2項で一時的な禁止・制限が可能同様の規定なし
罰則第103条第3号(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)第103条第5号(同上)

とくに見落とされやすいのが道路監理員の緊急措置です。第46条第2項は「道路監理員は、前項第一号に掲げる場合において、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため緊急の必要があると認めるときは、必要な限度において、一時、道路の通行を禁止し、又は制限することができる」と定めています。この権限は第46条第1項第1号の場合に限られており、第47条第3項には対応する規定がありません。点検中に想定外の損傷を見つけて現場で即座に止める必要が生じたときに使えるのは、第46条第2項の側です。

通行止めそのものの位置づけと、健全性Ⅳとの関係は健全性Ⅳの橋はなぜ通行止めになるのかで第46条を軸に整理しています。あわせてお読みください。

緊急時のただし書は第47条第3項に及ばない

規制をかける前の手続として、公安委員会への意見聴取があります。道路法第95条の2第1項は、道路管理者が「第四十六条第一項若しくは第三項若しくは第四十七条第三項の規定により道路の通行を禁止し、若しくは制限し」ようとするときは、当該地域を管轄する都道府県公安委員会の意見を聴かなければならない、と定めています。第47条第3項もこの意見聴取の対象です。

問題はその後に続くただし書です。原文はこうなっています。

「ただし、第四十六条第一項の規定により道路の通行を禁止し、若しくは制限し、又は第四十八条の二十九の三の規定により防災拠点自動車駐車場の利用を禁止し、若しくは制限しようとする場合において、緊急を要するためやむを得ないと認められるときは、この限りでないものとし、この場合には、事後において、速やかに当該禁止又は制限の内容及び理由を通知しなければならない。」(道路法第95条の2第1項ただし書)

ただし書が名指ししているのは第46条第1項であり、第47条第3項は含まれていません。つまり第47条第3項で重量制限をかけるときは、緊急を要する場合でも意見聴取を省略して先に実施し後から通知する、という進め方が条文上は用意されていません。

これは第2節で述べた「計算・試験が前提」という点と合わせて考えると筋が通ります。第47条第3項は、計算に基づいて恒常的な限度を設定する規定であり、そもそも緊急対応を想定していない条文だということです。急ぐときは第46条、腰を据えて数値を決めるときは第47条第3項、という役割分担になります。

罰則が非対称になっている

制限をかけたあと、違反があった場合の罰則を確認します。ここは条文を並べると非対称が見えます。

違反の内容条文法定刑
第46条第1項・第2項の禁止・制限に違反して道路を通行した第103条第3号6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金
第47条第3項の禁止・制限に違反して道路を通行した第103条第5号6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金
第47条第2項に違反して(=一般的制限値を超える車両を)通行させた第104条第1号100万円以下の罰金
第47条の2第1項の許可に付した条件に違反して車両を通行させた第104条第1号100万円以下の罰金

第103条は「通行した」者を、第104条第1号は「通行させた」者を対象にしています。橋固有の重量制限を破った場合(第103条第5号)よりも、全国共通の一般的制限値を超えて車両を通行させた場合(第104条第1号)のほうが罰金の上限が高い、という関係です。

あわせて押さえておきたいのが第47条の14第1項です。道路管理者は、第47条第2項に違反して車両を通行させている者などに対し「当該車両の通行の中止、総重量の軽減、徐行その他通行の方法について、道路の構造の保全又は交通の危険防止のための必要な措置をすることを命ずることができる」と定めています。ここで挙げられているのは第47条第2項・第47条の2第1項の条件違反・第47条の10第3項の回答不遵守・第47条第4項の基準超過であり、第47条第3項は列挙されていません。橋の重量制限だけを理由にこの命令を出す構成にはなっていないため、現地での対応は第71条の監督処分など別の枠組みを併せて検討することになります。

制限をかけた橋を通る車両がある

重量制限をかければその橋に重い車は来ない、と考えると実態を取り違えます。道路法第47条の2第1項は次のように定めています。

「道路管理者は、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないと認めるときは、前条第二項の規定又は同条第三項の規定による禁止若しくは制限にかかわらず、当該車両を通行させようとする者の申請に基づいて、通行経路、通行時間等について、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため必要な条件を付して、同条第一項の政令で定める最高限度又は同条第三項に規定する限度を超える車両(以下「限度超過車両」という。)の通行を許可することができる。」(道路法第47条の2第1項)

「同条第三項の規定による禁止若しくは制限にかかわらず」と明記されています。第47条第3項でかけた橋固有の制限も、許可の対象です。重量制限をかけた橋が経路に含まれる申請が上がってきたとき、審査するのはその橋の道路管理者自身になります。制限値を決めた計算・試験の根拠を、許可審査の場で再び使うことになるわけです。

関連して、第47条の10第8項は「登録車両を第三項の回答の内容に従つて通行させるときは、第四十七条第二項及び第三項の規定は、当該登録車両について適用しない」と定めています。特殊車両通行確認制度で回答を得た経路については、第47条第3項の制限が適用されない構成です。そのため、第47条の3第4項に基づいて国土交通大臣へ提供する許可基準等の情報を、制限をかけた時点で更新しておく必要があります。同条第5項は「当該道路に係る許可基準等に変更があつたときは、直ちに、これを国土交通大臣に提供しなければならない」と定めています。制限をかけたのに情報提供が遅れると、制度上は制限のない橋として経路が案内されうる、という関係になります。

点検側の記録とどう接続するか

最後に、点検の記録との接続を確認します。道路法施行規則第4条の5の6第3号は、記録すべき対象を次のように定めています。

「第一号の点検及び前号の診断の結果並びにトンネル等について令第三十五条の二第一項第三号の措置を講じたときは、その内容を記録し、当該トンネル等が利用されている期間中は、これを保存すること。」(道路法施行規則第4条の5の6第3号)

記録の対象は「点検の結果」「診断の結果」「措置を講じたときはその内容」の3つです。重量制限は道路法第47条第3項に基づく処分であって、施行規則がいう「措置」に自動的に含まれるとは条文上読み取れません。この点の扱いは各道路管理者の要領によるため、規制の実施記録を点検記録のどこに残すかは、あらかじめ庁内で決めておくのが安全です。橋梁台帳側に規制履歴の欄を持たせている管理者もあります。

また、点検の頻度は5年に1回が基本ですが、重量制限をかけている間の橋を次の定期点検までそのままにしてよいかは別の判断です。特定事象の記録や、令和6年3月改定の定期点検要領が示す考え方と合わせて、規制中の橋の監視方針を定めておくことになります。

技術的な支援が必要な場合の受け皿として、直轄診断・修繕代行の制度もあります。耐荷力の計算・試験の体制を自前で持てない管理者にとっては、制限値の設定そのものが大きな壁になるためです。法定点検の対象施設と、点検要領の位置づけも併せて確認しておくと、どこまでが義務でどこからが裁量かの線引きがはっきりします。

本記事は、e-Gov法令検索の法令API(法令データ取得)から取得した道路法・車両制限令・道路法施行規則の原文を確認したうえで作成しています。個別の橋への規制の可否・限度値の設定方法・様式・公安委員会との調整の実務については、各道路管理者の定める要領および所管部署の判断によってください。

よくある質問

健全性の診断がⅢになったら、すぐ重量制限をかけられますか?

道路法第47条第3項は、限度を「構造計算その他の計算又は試験によつて安全であると認められる限度」と定めています。健全性の診断は道路法施行規則第4条の5の6第2号により結果を分類するものであり、限度の数値を出す手続ではありません。第47条第3項で制限をかけるには、耐荷力に関する計算または試験を経る必要があります。急いで交通を止める必要がある場合は、限度の算定を要件としていない第46条第1項第1号の側を検討することになります。

第46条と第47条第3項は、どちらを使ってもよいのですか?

条文の要件が違うため、事案に応じて選ぶことになります。第46条第1項第1号は「道路の破損、欠壊その他の事由に因り交通が危険であると認められる場合」に道路の通行そのものを禁止・制限する規定です。第47条第3項は、トンネル・橋・高架の道路などについて、計算または試験で得た限度を超える重量・高さの車両の通行を禁止・制限する規定です。前者は緊急対応に、後者は恒常的な限度の設定に向いた構成になっています。

重量制限をかけるとき、公安委員会への意見聴取は必要ですか?

必要です。道路法第95条の2第1項は、第46条第1項・第3項に加えて第47条第3項による禁止・制限についても、当該地域を管轄する都道府県公安委員会の意見を聴かなければならないと定めています。なお同項ただし書の「緊急を要するためやむを得ないと認められるとき」の例外は第46条第1項(および第48条の29の3)を対象としており、第47条第3項は含まれていません。

第47条第3項で、幅や長さを制限することはできますか?

できません。第47条第3項が対象としているのは「重量又は高さ」の2つです。幅については車両制限令第5条・第6条が市街地区域の内外に分けて一般的な基準を定めており、また同令第11条には道路が破損・欠壊している場合などの幅の制限の特例が置かれています。長さについては車両制限令第3条第1項第4号の最高限度が全国一律にかかります。

重量制限をかけた橋に、制限を超える車が通ることはありますか?

あります。道路法第47条の2第1項は「同条第三項の規定による禁止若しくは制限にかかわらず」許可できると明記しており、第47条第3項でかけた制限も限度超過車両通行許可の対象です。許可には通行経路・通行時間等について必要な条件を付すことができ、条件に違反して通行させた場合は第104条第1号により100万円以下の罰金の対象となります。

制限をかけたことを、どこかに届け出る必要はありますか?

道路法第47条の3第4項・第5項は、限度超過車両の通行を誘導すべき道路として指定された道路について、その道路管理者が許可基準等を国土交通大臣に提供し、変更があったときは直ちに提供しなければならないと定めています。制限をかけた橋がこの指定に含まれる場合、許可基準等の更新が条文上の義務になります。指定に含まれない道路の扱いを含め、具体的な手続は所管部署にご確認ください。

点検記録には、重量制限をかけたことを書くのですか?

道路法施行規則第4条の5の6第3号が記録・保存を求めているのは、点検の結果、診断の結果、および道路法施行令第35条の2第1項第3号の措置を講じたときのその内容です。第47条第3項に基づく通行の禁止・制限がここでいう「措置」に含まれるかは条文からは一義に定まりません。運用が分かれる部分なので、規制の実施記録をどこに残すかは各道路管理者の要領で定めておくことをおすすめします。